Crystal Winds Focomat Ic
FOCOMAT Ic(フォコマート)は35mmフィルム用の引き伸ばし機です。
FOCOMATの情報もだんだん少なくなっているようなので簡単にまとめました。

フォコマートIcの構造
本体は以下の4つの部分に別れます。
1) ベース基板
2) ポール
3) フレーム(ヘッドの下半分部を含む)
4) ヘッドの上半分(ランプを装着する)

フレームのネガキャリアの脇についている2枚の羽根は昔36コマのネガを6コマずつ切らずにそのまま使っていた時のロール状のフィルムを置く場所です。 現在は必要ないので付けずに使用している方もいます。

フォコマートの特徴
ヘッドの部分を上下して拡大率を変化しても焦点がずれないというところに最大の特徴があります。

フォコマートIcの種類
ヘッド内部にフィルターを装着できる「IC Color」というタイプもあります。(写真左下の手前の機種) ランプとコンデンサレンズの間にフィルターを置くことができるので光学的には良いとされています。ただしイルフォードのフィルタの場合爪を折らないと入りません。 通常タイプではレンズの先に工夫してフィルターを置きます。例えば、自在クリップや付いている赤フィルターの枠のようなものを、厚めの下敷きなどでつくりフィルター置きにするとかです。

一枚のネガで頻繁にフィルターを替えることが必要であれば、ヘッド内装着タイプでは交換時のフレームのズレとかが気になるので(構造的には問題無いのでしょうが) レンズの前に置く方が便利で安心です。

イーゼルとの関係
フォコマートのポールには1インチの間隔で2つ穴があります。通常フレームを上の穴で固定して、1インチの高さのあるライツ等のイーゼル上でピント合わせをします。 その場合、フレームを下の穴で固定したときに、イーゼル無しでベース基板の上の印画紙でピントが合います。

他の高さのイーゼルを使用して同じことをやる場合には、写真右のように使用するイーゼル高に合わせたスペーサを入れることになります。

ベース基板の上で印画することを想定しないのであれば、上の穴でフレームを固定して、使うイーゼルでピント合わせをすればよいです。 実際私の個体も入手した時点ではLPLの高さに合わせたピント合わせがされてました。LPLのイーゼルの場合のピントの位置は右下の写真のライツのイーゼルよりわずかに向かって左にあります。

ネガキャリアとの調整
写真左の上からアンチニュートンリングフィルター、普通のネガキャリア(純正品では無い)、その下がガラスのネガキャリア。

フォコマートではネガキャリアの上にフィルムを置き、上からコンデンサレンズで押さえます。このためフィルムの平面性がよくなります。しかしそのままではニュートンリングの縞模様が 出る場合があるので、コンデンサレンズにアンチニュートンリングフィルターを被せて使います。このフィルターを使うときには、フィルム圧を少なくするため、コンデンサレンズを入れる前にスペーサリングを置きます。

ガラスのネガキャリアはコマ数が少ないフィルムに使うと言う話もあるが、画角が広いので126や127のフィルム用だろう。これでA26のネガもフォコマートで焼けることになる。しかしそのガラスの厚さの部分だけピントがずれるので、写真右のギザギザの付いた部分を回し、レンズの高さを微調整します。 そのままではピンとがずれてしまうので、ピントストッパーで固定します。通常のキャリアと共用する場合にはストッパーを2個使います。ストッパーが無くてもレンズを付けたあとに一回ピントを合わせれば その後は動かないような気がします。(写真の2個の片方は飾りです。) 引き伸ばしレンズはFocotarを使用しますが、他のレンズを使用するときにもこれでピント調整をします。(Focomatで別のレンズを使用したことはないですが。。)

 以上の内容でフレームのピント調整が既にされている個体であればそのまま使えます。
 フレーム本体のピント調整はリンクの3)を参照。手順通りにやれば難しくはありません。

フォコマートの便利なリンク

1) アンチニュートンリングフィルターの販売サイト
 グラスだけやスペーサだけの販売もしているので、フィルターを中古で手に入れた場合にも対応できる。

2) 同サイトのアンチニュートンリングフィルターの装着方法
3) 同サイトのフォコマートのピント調整方法
4) 同サイトのスペア部品販売サイト
5) 写真用ランプの入手先(B&H)

                                      2019/02/21UP
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