湘南小坪のほろ酔い道祖神訪問記


小坪に向けて(2002年9月1日(日) 晴れ )
 昨日はタマちゃん探して鶴見川を自転車で走り回ったせいで、体調は悪かったが天気が最高だったので、ちょっと気になっていた逗子マリーナに近い小坪地区の道祖神を訪問することにした。
 5つの神社に7体の双体道祖神があるけどエリア的には30分もかからない距離とのことなので、11時に出かけ3時ぐらいには帰る予定で出発。横浜から鎌倉までは湘南電車。鎌倉駅で降りて逗子行きのバスを待つ。小坪に行けるバスは一時間に3本ぐらいあり、次のバスはちょうど10分ぐらい後に出るとのことで駅舎の蔭で待つ。バスは材木座の海岸通りに出る一本前で左に折れ、光明寺の前を通り、小堀隋道(トンネル)を過ぎて少し下るとそこはもう小坪だった。須賀神社の前が逗子方面のバスの停留所になっている。

須賀神社
 バスを降りて念の為に須賀神社の境内に入って見回すがやはり道祖神は無かった。須賀神社から100mぐらい海側に下ると、小坪の交通の要衝らしい三差路。ちょうどその角に子之神社があった。そこで最初の道祖神を確認。道端の塀のすぐ脇に置かれていた。でも、一番端の神明社から回ることにしていたのでひとまず、右に折れて神明社をめざす。まっすぐ進めばそこはもう小坪の港。
神明社
 子之神社から50mぐらい歩いたところに右側に山に登る石段があり、てっぺんに鳥居も見えるので、ここが神明社だろうとのことで登り始める。神明社の祭神は天照大神。しかしお稲荷さんみたいな祠も多く置かれている。鳥居まで5mぐらい前の石段の右脇に3体の道祖神が置かれているのを発見。とりあえず、神社にお参りしてから写真を撮ろうと思って登る。これがまずかった。境内に入ると、なにやら宴会が進行中。ちょうど日が当るようになって場所替えをしているところで、その中のおばちゃんに「ちょっと呑んでったら」とかと声をかけられる。なんか無碍に断るのもわるいので、お相伴にあずかることに。話聞きながら呑んでたら、結局日本酒3杯にビール。

住吉神社
 いいかげん酔っ払ったところで、おじさんに「住吉神社案内してやるからいこう。」とか言われ、断りきれず予定外の住吉神社参拝へ。ここ何年か人が通ったことの無さそうな藪の中の小道をかき分け、倒木の上をまたいで進む。2、3回つまずいて転んでから、手掘りのトンネルを通るとそこが住吉神社だった。このトンネルは方向を間違えたのか途中で大きくクランクしている。この一帯は昔住吉城と呼ばれた三浦氏ゆかりの城跡とのこと。住吉神社には神輿も保管されているとのことだけど、現在は草も生え放題の状態になっている。住吉神社の祭神は底筒男命、中筒男命、表筒男命。

軍の砲台跡
 写真を撮ってから草ぼうぼうの階段を下まで降りると、逗子マリーナ横のプール横に出た。もと来た神社に向かってると、今度はおじさんが山際の階段を上っていく。一番上は柵で立ち入り禁止になっていたが、それを乗り越えて中へ入っていく。戦時中ここには軍の砲台があったそうだが、戦後捨ててあった弾薬に蝋燭の火が引火して児童十数人が死亡した跡地とのこと。その人達を供養するお地蔵さんがあるとのことだったが、藪を踏み分けて探しても発見できず。

ようやく神明社の道祖神(3体)
 でもってようやく神明社に戻ると、宴もお開き近く。記念撮影してから、かたづけ解散。これでようやく今日の目的の行動に移れる。着いた時には12時半、日はまだ真南にあったけど、日は傾いて西日が強い。まずはお稲荷さんを撮ってから、道祖神の撮影へ。一番上の一体はまだ状態がいいが、真中のは表面が削れてほとんど表情なし。一番下も削れが激しいがまだ表情は残っている。普通1月14日のどんと祭りは、丸い石をくべるものらしいが、ここいらでは、道祖神を焼いちゃうので削れが激しいらしい。おばちゃん(78とか言ってた。)の話では、昔はこの道祖神を浜まで持っていって祭りをやっていたとのことだけど、今は持って行く人はいないなぁとのことだった。神明社の祭りは2月の第一土曜とかいってた。「また来てな。」とか言ってくれたので行くことにしようか。

子之神社の道祖神
 神明社の石段を下りて左に折れて、子之神社へ。日が当らないので低速で切る。ここの道祖神は焼けれていないらしく、まだ端整な姿をしている。あたまには帽子をかぶってるようだ。

一の宮神社の道祖神
 一の宮神社も子之神社から100mも行かないところにあるらしいが、表通りからは見えない。須賀神社の方向に2、30m戻り、右に折れて路地に入って行き少し歩くと、すぐに一の宮神社の裏に出た。裏から入ると大きな社を囲んで小さな祠が4つぐらいあるが、どれも鍵がかかっている。そのうちの一つをよく見ると、囲い越しに道祖神の形がうかがえる。でも表面は削られていてほとんど原型を留めていないようだ。写るかどうか分からないが、とりあえず写真におさめる。

八幡宮の道祖神
 次の八幡宮もすぐそばらしい。いったん港まで出てから、また路地に入るとすぐにみつかった。でもこの辺りの神社は表札がでていないので、地図がないと名前も分からない。ここの道祖神も小さな祠におさめられていて、前には大きな貝殻がおいてあった。

諏訪社の道祖神
 さて最後の諏訪社は丘の向こうなので、抜けられそうな坂に目星をつけて登る。道すがらには民宿もあった。ちょうど玄関前に出ていた人に道を聞いたら、上に行けるということなので、そのまま進む。のらちゃんもいたが、撮ろうとしたら人が来て逃げられてしまった。しかし、丘の上まで出たら風景は一変して周りは高級住宅街。場所間違えてそうで、通りすがりのおじさんに聞く。すると諏訪社は坂を登りきる少し前だったみたいで、そこまで連れて行ってもらった。ここもこじんまりした神社で、道祖神は祠のなかに納まっていた。ここの道祖神もきれいな姿を残していた。

天照大神宮前の庚申塔
 諏訪社からの帰りに坂を降りていたら、天照大神宮の石段の下で庚申塔を発見、ついでに、神社の長い石段を登るが上には社殿しかなかった。でも途中で富士山に入るお日様を発見。これがきょうのお開きの一枚になった。
感想
 神明社前のの鎌倉行きバス停まで戻ると時刻は5時半。3時ぐらいにはここを出て、光明寺に寄って帰る予定だったのだが・・・。でも普通の撮影では一言も言葉交わさずに終わってしまうこともあるけど、こんな出会は初めてのことであった。また、来年の2月には酒でも提げて来よう。




参考資料
書籍 神奈川の道祖神 (上・下) 京谷秀夫・宮崎利厚共著 神奈川新聞社発行
HP かわいい小坪の双体道祖神について
神奈川の道祖神たち
地図 それぞれの神社の位置関係はMapfanWebのバーナーをクリック。