HOLGA(120)のF値の怪の真相

 カラーフィルムが使えるようになったということで、家にあるまだ撮ったことのない2台のHolgaを使おうと調べてみると、絞り機能についての色々面白い記事が。
 最近出荷のものは改良されているようだけど、2009年ぐらいまでのものは、「晴れ」と「曇」を切り替えても絞りが効かないというもの。原因は絞りの枠がレンズより大きいという、常識では考えられないもの。中を開けて、2.3mm程度の穴のある膜を貼っている方々がいる。もともとのレンズの開放時の大きさが4.35mm程度ということで、2段程度暗くなる。
 また、Holga用いるフィルムでは、ISO100やISO400でも「曇り」は写らないとしている記事がある。HolgaのレンズはF8でシャッタースピードが1/100sなので、Ev値は12.7ぐらい。で、「曇の日」のEv値は、ISO100で12、ISO400で14となり、計算通りなら写らないはずはない。
 しかし、レンズの開放時の口径を測った人の値では4.35mm程度と。これと焦点距離60mmからF値を計算すると、60/4.35=F13.79とのこと。このF13.8と1/100sでEv値を計算すると、Ev=14.3ぐらい。これらの計算法が正しいとすると、ISO100のフィルムでは差が2段を超え、曇の日の撮影は難しい領域となる。実際レンズが暗いために、「晴れた日の日中の屋外」ということになるようだ。逆にISO400のフィルム(晴れの日のEv値=16)やリバーサルの場合、上記改造で絞りが必要になる。

【追記(2024/02/19)】例えばコニカC35 38mmF2.8の開放の時の絞りの直径は約13mmなので38/13=F2.9とほぼ一致する。
 一方Holgaは、レンズ自体は大きいが、開放の時の絞りが4.3mm程度しかなく小さすぎる。焦点距離60mmでF8であれば、レンズ開放時の口径は60/8=7.5mmないといけない。レンズをみると確かにその程度の大きさで枠が見えるが、さらにその後ろに4.3mmの開放絞りの枠があり、それが光をさえぎっているようだ。確かにレンズの仕様はF8かもしれないが、最後の枠が穴を半分にして、2段ぐらい暗くしているようだ。なので、改造できるのであれば、最後の枠を広げ(or 除き)、稼働絞りに4.3mmの枠をつける必要がある。
 たぶん設計では曇の日はF8(7.5mm),EV値12.7で、晴れの日は、稼働絞り(4.3mm)Ev値14.7で2段絞り使う予定だったと思われる。製造に移す時点で、開放絞りの直径を、晴れの日の絞りにして作ってしまったのだろう。(なので、稼働絞りがいらなくなった。) 設計通りであれば、曇の日も撮れる、まともなカメラになっていたと思われおしい。

【さらに追記(2024/02/19)】Holgaの開放絞りを大きくする記事がすでにありました。レンズを明るくする この記事では「F8をF5.6に明るくする」としていますが、実際にはこれで、「F13.8が本来の仕様のF8に戻る」のだと思います。レンズの後ろに口径を小さくするリングが貼られているようで、それを剥がすことにより、仕様通りに戻るようです。この貼られているリングにより、稼働絞りが不要になったわけです。これが稼働絞りに絞り枠が無い理由です。このはがしたリングを稼働しぼりにつけるとF13.8になります。たぶん。これで、曇の日はF8(7.5mm),EV値12.7で、晴れの日は、稼働絞り(4.3mm)Ev値14.7のカメラになります。
 なぜこんな製造方法に替えたのか疑問が残ります。記事を探すと、すでにこの剥がしたリングを稼働絞りにつけた人もいるようなので、制作過程で、仕様では稼働絞りに接着するリングを、レンズに接着してしまった可能性が高いのではと思います。(とほほ・・)私のHOLGAでも、リングが中心からずれています。(なお、この記事ではレンズを基盤から外さずにリングを剥がしていますが、基盤からはずした方が安全です。)
 なお2009年(9月?)以降のHolgaは、稼働絞りが効くようになったという話ですが、現在の製品は、可動絞りにはさらに暗いF16(3.75mm)ぐらいの穴が開いている可能性が高いです。これは、レンズを前から見て、穴の大きさを測れば簡単に求められます。(F値=60mm/穴の直径mm)