カルティエ ブレッソンの速写術

 カルティエ ブレッソンは、「曇りがF5.6で1/125sec、晴れがF8で1/250sec」で撮っていたと語っています。これをEv表でみると、曇りがEv=12、晴れがEv=14となります。当時のフィルムのラチチュードを±1と仮定すると、EV=15からEV=11までを、この2つの組み合わせだけでカバーしていることになります。(ここでF5.6の1/500sではなく、F8の1/250sを使っているのは、1/300sまでしかないカメラも使っていたからかもしれません。) したがって、組み合わせの切り替えを誤らなければ、適正露出との差も1段程度に抑えられていた。

 彼が使用したフィルムは明確になってませんが、コダック社のフィルムの歴史からは、1938年にPlus-x(ASA80)とSuper-XX(ASA160)発売され、1958年にTri-X(ASA250)が発売され、Double-Xから代わっています。ここで、各フィルムに対する右のEv表を見ると、Ev11~15で対応しているフィルムはPlus-Xということがわかります。これから、この2組の組み合わせに対応するフィルムはPlus-Xということになります。また、2つの組み合わせの境界は、この表からは、太陽の光で影ができているかどうかという点のようだ。

 現在彼と同じ2つの組み合わせでスナップを撮ろうとすれば、ISO100のフィルムでよいことになり、ISO400であれば2段スピードを上げて、F5.6,1/500sとF8,1/1000sでよいことになります。ISO400のネガはラチチュードが±2ぐらいなので、なお万全です。いずれにせよ、この方法であれば、露出計無しにスナップすることが可能となります。たぶん「曇り」は「日陰」も含めてと思います。

 F16は写真教室などで求められる基本のパンフォーカスの写真となりますが、F4~F5.6辺りで撮るとピントがあった被写体が主題として浮かび上がります。

ps.現在ではTri-XはISO400でISO100と比べ4倍なのに3倍と名付けられているのに疑問がありましたが、発売当時はISO80が基本だったようです。

見やすいEv表

 これまで作ってみた普通のEv表は見にくいので、Ev値と絞り値を軸にして表を作ってみた。この表だと、同じEv値であれば同じ列の上下を見るだけでいい。
 例えばISO100のフィルムの場合、F16のルールだと、F16と1/125sの組み合わせが基本であり、F8と1/1000sの組み合わせから、F22と1/60sぐらいの組み合わせが選べることになる。(F32は普通ついていないので。) 曇の日は、3段落としたF5.6辺りで1/ISO秒の組み合わせが基本となりそう。その場合ISO100で、F5.6と1/125sの組み合わせでEV値が12程度。
 ISO400のフィルムでは、1/500sのところを斜めに動く。Double-Xも同様に1/250sのところとなる。結局、シャッタースピードが1/ISO秒で固定であれば、絞りを一段ずつ開けていくことになる。F16固定であれば、左側にスピードを一段ずつ遅くさせることになる。

 また、ぼかしが効くF4辺りの絞りを使えるのは、1/1000sまでしか無いカメラではEv14までとなる。したがって、晴れた日はISO400のフィルムではF4は選べないことになる。(NDフィルターを使う必要がある)

 露出計にEv値のメモリがなくても、例えばF16固定でスピードを変化させ、最適値が1/125sであれば、その時点のEv値は15となる。

雨の日のEv値

雨の止んでる合間にちょっと散歩。データを見るとISO100,F3.4,1/440sから、
Ev=log(440,2)+log(3.4,2)x2-log(100/100,2)=8.78+3.53-0=12.31。
なので、典型的な「曇の日」ということに。

そして、昨日の写真のデータは、ISO100,F6.7,1/570sから、
Ev=log(570,2)+log(6.7,2)x2-log(100/100,2)=9.15+5.49-0=14.64。
なので、典型的な「晴れの日」ということに。

Ev計算式(2)

 Evの計算式に大陸系のスピード(1/300,1/100,1/50,1/25)を加えてみた。いずれも、近いスピードと±0.3、1/3段ほどの違いがあるが、ネガなら許容範囲が±2ぐらいなのであまり変わらないだろう。
 なお「サニーF16ルール」というのがあるそうで、晴天で日の当たっている場所では、「絞りF16、シャッタースピード1/ISO秒」で適正露出が得られるというもの。Ev値の計算では、ISO100の場合Ev14.6、ISO400でEv16.6というこになり、右の表の快晴に近い値になっている。カメラの設定としては、ISO100で1/125s、ISO400のフィルムで1/500s。日の当たっていない日陰ではこれより2~3段開くことになる。
 なおエクセルの計算式は2を低とする対数。
参考となるWEB

Holgaの改造(裏蓋補強)

 Holgaの記事を見ると、裏蓋にテレフォンカードを貼ったり、巻取り側に、フィルム押さえを付ける改造記事が見つかる。初めはフィルムの平面性の強化かと思ったが、120フィルムの裏紙とフィルムを密着させるためらしい。120フィルムには黒い裏紙があるので、光が入っても抑えられるが、Holgaの場合この間がゆるゆるらしく、光が入った場合にフィルムに届いてしまうようだ。

LOMO LC-Aを入手

モノクロ時代には縁の無かった、トイカメラの双璧をなすLOMOを入手。たぶん普通に撮れば、普通に写るんだろうけど。しばらく天気が悪いようなので、試写は先になりそう。体重は250gでT3(235g)と同程度だけど、フォールディングはLOMOの方が良い。製造番号の最初の2桁が製造年とすると、1996年製みたいだ。結構状態は良さそう。モルトはまだだいじょうぶみたい。

HOLGAの絞り改造

暇だったので、Holgaの絞りを改造してみた。なおこの個体は2006年出荷品。

分解して、レンズの裏をみると、やはり絞りのリングが貼ってあった。これをまず剥がした。この作りをみると、最初から何かしらの、絞りリングを貼るのが前提になっているようである。F8では絵が甘いのかもしれない。

可動絞りは真四角で、絞りリングより大きい。

この可動絞りに、剥がした絞りリングを両面テープで貼り付け、うえから黒テープでカバーした。

 正面からの絞りの直径を測ると、開放時約7.2mm(60/7.2=F8.3)、絞りを入れた時4.9mm(F12.2)となった。これにより、仕様(F8とF11)に近い絞りが得られることになる。シャッタースピードが1/100sなので、開放時Ev値=12.8、絞りを入れてEv値=13.9となり、ISO100での曇と晴れの時のEv値にほぼ一致する。ISO400なら2段高めだが。iso400の『写ルンです』(Ev=14)をみるとネガなら許容範囲か?

【追記 2024/02/20】現在Holgaのレンズだけ取り出したものが発売されているが、これにも写真のように同様の小さい絞りリングが貼られている。したがって、このレンズも公称のF8ではなくF12ぐらいのくらいレンズとなっているようだ。これから考えると、現在売られているHolga120についているレンズも、このままという可能性が高い。その場合は、可動の絞りが効いているとすると、曇が開放でF12(4.9mm,Ev=13.9)で、晴れが絞りが効いてF16(3.7mm,Ev=14.7) or F22(2.7mm,Ev=15.7)近くだろう。

 また、デジタルカメラ用単体レンズには、ブラック・コーナー・エフェクター(BC,別売りでは525円)付きがあって、この場合は裏面にさらに小さい絞り穴の空いたシートを貼るようだ。これは、35mmカメラ(もしくはAPS-c)では画角が狭いので周辺減光効果が出ないのを補うためのようだ。しかし、この場合さらに光の量は少なくF20ぐらいと、Amazonでレビューしているユーザもいる。F12から2段近く落ちているようだ。これではディジタルカメラでもISO感度を上げないと撮影は難しい。中版の周辺減光効果を、同じレンズで、35mmカメラに期待させるのがおかしい。

Ev値の計算式

 Ev値がどんな計算式で計算されているのかエクセルで再現してみた。絞りは直径に比例しているようで、Ev値としては面積に比例ということで2倍している。この表から例えば晴れた日は、ISO100のフィルムを使えばEv値=14が得られる、速度1/250s絞りF8という設定が必要ということになる。ISO400のフィルムでは2段違うので、F16となる。
 夜電球の下ではISO400のフィルムで、F2.0、速度1/60ぐらいなので、Ev値は8前後となる。ISO100に換算すると、log(400/100,2)=2を引いて、Ev値は6前後。

 HolgaのEv値は、レンズに貼ってある絞りのリングを取って改造すれば、曇の日はF8(7.5mm)・1/100sでEV値=12.7で、晴れの日は稼働絞りF13.8(4.3mm)・1/00sでEv値=14.7なので、ISO100のフィルムでも曇の日にも撮れるようになる。ISO400であれば、さらに暗いところまで撮影可能となるが、快晴の日には向かない。もう少し狭い絞りリングを付ける必要がある。Ev値が測れる露出計があれば適当なフィルムと絞りが選べる。

TAXONAに使えるフード

 タクソナ用のフードを探したけどさすがに見つからない。Konica I型に使えるWaltzの32mmかぶせフードを試したら、ギリギリ入らずあきらめていた。今日だめもとで、枠を指で広げてみるとギリギリ入り、ちょうど良いサイズに。50mm用なのでけられる可能性はあるが、37.5mm24x24なのでだいじょうぶだと思う。

HOLGA(120)のF値の怪の真相

 カラーフィルムが使えるようになったということで、家にあるまだ撮ったことのない2台のHolgaを使おうと調べてみると、絞り機能についての色々面白い記事が。
 最近出荷のものは改良されているようだけど、2009年ぐらいまでのものは、「晴れ」と「曇」を切り替えても絞りが効かないというもの。原因は絞りの枠がレンズより大きいという、常識では考えられないもの。中を開けて、2.3mm程度の穴のある膜を貼っている方々がいる。もともとのレンズの開放時の大きさが4.35mm程度ということで、2段程度暗くなる。
 また、Holga用いるフィルムでは、ISO100やISO400でも「曇り」は写らないとしている記事がある。HolgaのレンズはF8でシャッタースピードが1/100sなので、Ev値は12.7ぐらい。で、「曇の日」のEv値は、ISO100で12、ISO400で14となり、計算通りなら写らないはずはない。
 しかし、レンズの開放時の口径を測った人の値では4.35mm程度と。これと焦点距離60mmからF値を計算すると、60/4.35=F13.79とのこと。このF13.8と1/100sでEv値を計算すると、Ev=14.3ぐらい。これらの計算法が正しいとすると、ISO100のフィルムでは差が2段を超え、曇の日の撮影は難しい領域となる。実際レンズが暗いために、「晴れた日の日中の屋外」ということになるようだ。逆にISO400のフィルム(晴れの日のEv値=16)やリバーサルの場合、上記改造で絞りが必要になる。

【追記(2024/02/19)】例えばコニカC35 38mmF2.8の開放の時の絞りの直径は約13mmなので38/13=F2.9とほぼ一致する。
 一方Holgaは、レンズ自体は大きいが、開放の時の絞りが4.3mm程度しかなく小さすぎる。焦点距離60mmでF8であれば、レンズ開放時の口径は60/8=7.5mmないといけない。レンズをみると確かにその程度の大きさで枠が見えるが、さらにその後ろに4.3mmの開放絞りの枠があり、それが光をさえぎっているようだ。確かにレンズの仕様はF8かもしれないが、最後の枠が穴を半分にして、2段ぐらい暗くしているようだ。なので、改造できるのであれば、最後の枠を広げ(or 除き)、稼働絞りに4.3mmの枠をつける必要がある。
 たぶん設計では曇の日はF8(7.5mm),EV値12.7で、晴れの日は、稼働絞り(4.3mm)Ev値14.7で2段絞り使う予定だったと思われる。製造に移す時点で、開放絞りの直径を、晴れの日の絞りにして作ってしまったのだろう。(なので、稼働絞りがいらなくなった。) 設計通りであれば、曇の日も撮れる、まともなカメラになっていたと思われおしい。

【さらに追記(2024/02/19)】Holgaの開放絞りを大きくする記事がすでにありました。レンズを明るくする この記事では「F8をF5.6に明るくする」としていますが、実際にはこれで、「F13.8が本来の仕様のF8に戻る」のだと思います。レンズの後ろに口径を小さくするリングが貼られているようで、それを剥がすことにより、仕様通りに戻るようです。この貼られているリングにより、稼働絞りが不要になったわけです。これが稼働絞りに絞り枠が無い理由です。このはがしたリングを稼働しぼりにつけるとF13.8になります。たぶん。これで、曇の日はF8(7.5mm),EV値12.7で、晴れの日は、稼働絞り(4.3mm)Ev値14.7のカメラになります。
 なぜこんな製造方法に替えたのか疑問が残ります。記事を探すと、すでにこの剥がしたリングを稼働絞りにつけた人もいるようなので、制作過程で、仕様では稼働絞りに接着するリングを、レンズに接着してしまった可能性が高いのではと思います。(とほほ・・)私のHOLGAでも、リングが中心からずれています。(なお、この記事ではレンズを基盤から外さずにリングを剥がしていますが、基盤からはずした方が安全です。)
 なお2009年(9月?)以降のHolgaは、稼働絞りが効くようになったという話ですが、現在の製品は、可動絞りにはさらに暗いF16(3.75mm)ぐらいの穴が開いている可能性が高いです。これは、レンズを前から見て、穴の大きさを測れば簡単に求められます。(F値=60mm/穴の直径mm)

最近のディジタルカメラの出荷台数

 2023年のカメラの出荷は単価のUpで売上は5%程度伸びたが、台数は4%程度減少したようですね。しかも、この円安を考えると$ベースでは落ち込んでいるのでしょう。合計では800万台を割り込み772万台とのこと。レンズ交換式では一眼レフの落ち込みをミラーレスで補って若干伸びてますが、2019年の824万台にくらべ2023年は599万台と回復する見込みは無い模様ですね。スマホに食われたディジタルカメラには明るい未来はなさそうです。最近は新しいアナログフィルム風フィルターとかがニュースになるようでは、ほぼ末期症状に近いような。そもそも20年来のAPSサイズがいまだに存在している時点で進化していない。

 2000年代初めの最後のアナログカメラブームの頃は、2,30万出せば、M6とかハッセルとかの新品が買えたけど、今どきのハイエンドのデジカメはその倍はする。3,4年で陳腐化する機種にそれだけ出すのは、商用ベースの人しかメリットはないだろう。メーカは計画的陳腐化だけが生き残る道なんだろうけど。

 携帯にカメラが搭載されたのが1999年。iPhoneの発売が2008年。携帯がスマフォに置き換わったのが2010年以降。ということで、デジカメと携帯はまだ共存できていたけど、1000万画素を超えるiPhoneが出てからデジカメが売れなくなったのが、グラフを見ればわかる。この20数年はカメラ産業にとって激変の時代だった。また、往年の写真雑誌も役割を終え休刊していった。

 さらに最近のフィルムの高騰により、フィルムの本数が減っていることにより、DPEで採算が取れる状況ではななくなってるでしょうから、DPE料金の値上げや、町のDPE屋さんの減少は避けられない。残るのは大手のショップだけになるのでは?

 いま、写真に興味がある人の形態を別けると、こんな感じか?
①最新のディジタルカメラに数十万投資できる層
②コンデジで撮ってる層
③スマフォで撮っている層
④高いフィルムと現像料金でも、撮る本数が少ないからやっていける層
⑤シネマフィルム&長巻フィルムと自家現像で本数をこなす層
 結局写真産業にお金を落とす人は増えそうにない。