伝説のピンホールカメラ(1): Mombetsu45/65

 ピンホールカメラのサイトを回っていると、制作販売されていたピンホールカメラがでてくる。そのうちのひとつがMOMBETSU 45/65と言う木製の6×9cm判ピンホールカメラ。北海道紋別の菅原さんという方が制作販売されていたようで、もう販売はしていないそうです。
 このカメラにはファンの方もいて、このカメラで撮った写真展も開かれているようです。

6×9判で画角を計算すると、
Monmbetsu 45が焦点距離45mmで画角96°、35mm判換算で19mm程度。
Monmbetsu 65が焦点距離65mmで画角75°、35mm判換算で28mm程度。
ピンホールカメラとしては望遠側になるようです。
ピンホールのサイズは不明なれど、写真展の記述から0.2mm程度と思われます。

【参照サイト】
かわうそと愉快な仲間たち15〜地場の木製ピンホールカメラ
第4話 ピンホールカメラZERO2000
写真展「光画 with Mombetus 45/65」
臼井愛子写真展「ひかりとあそぶ」(Monbetsu45)

ピンホールカメラでスナップ

 ピンホールカメラのWEBを回っていると、ピンホールカメラでスナップを撮っている方々がいる。シャッター付きのピンホールカメラかと思ったが。人の手でやっておられるようだ。例えばEV=14.0の晴れた日に,ISO=800のフィルムを使い、F=138.0のピンホールカメラであれば露光時間が1/ 7秒と出る。この程度のスピードは人の手でもコントロールできるようである。さらにISO1600であれば、1/15秒ぐらいとなり、飛び立つ飛行機も止められるそうだ。使っているピンホールカメラは4×5用の120フィルムホルダーに暗箱を付けたようなピンホールカメラのようだ。
 1/7秒程度の人間シャッターは訓練すればできるようである。ただ使っているのが、カラーネガフィルムのようで、許容範囲も広いので、2倍から1/2倍程度に入ればOKなんだろう。ただ、高速のフィルムが販売中止になったと書かれているので、ISO800以上のフィルムだったのだろう。

ピンホールカメラとイメージサークル

 一般のカメラのレンズでのイメージゾーンは、メーカが定める所の、光量落ちのない範囲ということになる。しかし、ピンホールカメラの場合、光量落ちを補正するレンズが無いので、センターから外れるにしたがって、距離の2乗で光量は落ちていくことになる。ピンホールカメラのメーカのカタログには、イメージゾーンのスペックは書かれていない。しかし、アマゾンのzone2000の販売ページなどに、イメージサークル87.5cmという表記がある。焦点距離25mmとイメージサークルの半径87.5/2=43.75mmから逆算すると、ピンホールからイメージサークルまでの距離は2乗の和のルートをとると、ちょうど50mmとなる。したがって、焦点距離の倍の所、すなわち、光量が2段落ち(1/4)の所を仮に、イメージサークルと仮定しているようだ。これはフィルムの特性にもよるものなので、仕様としては設定していないようだ。いずれにしても、このあたりから光量は急激に減ることになる。

 この計算から逆に、ピンホールカメラで撮影できる画角(イメージサークル)を計算すると、acos(25/50)x2=60°x2=120°となる。例えば、MIA6x6 10mmの画角は152°と計算上は出るが、120°程度以上は黒いサークルになる。これは実際には次のYouTubeのMIA6x6の20mmと10mmの比較で確認できる。20mmも126°なのでわずかにイメージサークルにかかっている。
Testing the Mia 6×6 10mm PINHOLE CAMERA

このような、”トンネル効果”が欲しければ、画角が120°以上のピンホールカメラなら期待できる。たとえば、4×5の25mmなども。いずれにせよ、ピンホールカメラの場合はイメージサークル内が同じ光量ではなく、センターから下がり続けている。なので、夕方など全体的に光量の足りないところでは、イメージサクル内であってもトンネルになる。