カラーフィルターの絞り補正(白黒写真)

 フィルターを説明しているWEBを読むと、例えばイエローフィルターは1段補正(開く)し、露出内蔵のカメラなら補正の必要はないとしている。しかし、イエローフィルターを単体露出計で測ると1/3段しか落ちていない。なので、1段補正すると、2/3絞りのオーバーとなってしまう。逆に、内蔵式の場合には、1/3段落ちた光を測り、1/3段だけ開けていることになる。

 カラー特性が違うという考え方もあるが、カメラの露出計は色には反応しない。なので、内蔵の露出計も、単体の露出計も同じ値を示すことになる。さらに、オレンジ(YA2)は1段しか落ちないのに、2段開けてしまったら、1段もオーバしてしまうことになる。今どき、露出計が無いカメラにフィルターを付けて、白黒写真を撮る人も少ないのだろうが、結構問題と思う。

Y2,YA2フィルターによる減光

 白黒写真の説明書には、フィルターの減光は黄色は1段、赤が2段とよく説明されており、信じていた。スポットメータがあることだし、測ってみた。すると黄色のY2フィルターは1/3段の減光、オレンジのYA2フィルターで1段の減光しかなかった。なので、フィルムにもよるけど、イエローフィルターは常用しても問題ないレベルだったことが分かった。

Spot meter(L-508)届く

ほぼ最後の落札品としてスポットメータが届いた。30年ものにしては結構相場が高い。機種はL-508 Zoom Masterという名前。2003年ごろに生産終了ということで30年ぐらい経ったものだろう。L-308Bより一周り大きい感じ。

できることは、1度~4度の調整ができる反射式スポットメータと入射式メータ。広角の反射式の測定はできない。3個のメモリ機能があって、その平均も計算してくれる。スピード固定の場合、絞りの値がスケール上にプロットされるので、明暗差がすぐに読み取れる。1回の測定では、EV値とスピードと絞りが同じ画面で確認できるのも便利。ISOも2個設定できて、2番目はボタン押してる間そのiSOの場合の値が表示される。最新のものはほとんどがパネル操作になってるようで、やはりボタン操作の方が安心。スピード固定と絞り固定の測定ができるが、絞り固定では平均ができない。結局Ev測定モードのスピード固定という測り方になるのだろう。一回測ったら、ダイヤルでスピードを変化できる。
L-558とかは、スポットメーターの窓内に、基準値との差を表示させる機能があるようなので、まず設定値を中間に決めてから、暗い部分と明る部分を比較する場合は便利のよう。

18%グレー板を反射式で測った場合、入射式と同じ値が表示された。L-308Bの入射式とほぼ同じ値。デジシックスもほぼ同じだが、値が不安定。

若干ダイヤルの仕様が違いますが、この動画と同じモデルです。
この動画でも4:30辺りで、光が全体的に辺りハイライトや影等がなければ、入射式で完璧な計測ができるとしています。なので、スポットメーターだけでなく、入射光でも測れるような仕様です。測定方法はカメラの方向に向けて測定しています。また、7:10ぐらいからは、18%グレイカードに当たる光を反射式で測定すれば同じことができるとしています。たぶん、入射式の無いスポットメーターはそうやってるのでしょう。

18%グレイのカード

 Amazonに注文した18%グレイのカードが届いた。名刺サイズの大きさで、白、黒、18%グレイのカード3枚とネックストラップが一つ入って400円余り。

 理論上は18%グレイのカードに当たる光を反射式で計ると、入射式で測った値と同じになるわけだ。そういうわけで、早速テストしてみた。まず、セコニックのL-308Bはほぼ同じ値。ゴッセンのデジシックス2はやはり、反射式が入射式より1EV高い値が出た。したがって、デジシックス2を反射式で使うときには1EV(1段)引いて考えないといけないことになる。
 また、白い板だと2EVぐらい大きく、黒い板だと逆に2EVぐらい小さく出る。こういうものを反射式で測った場合には補正が必要になる。

 カメラ内蔵の露出計も、18%グレイの板を測れば入射光式の値が得られることになるが、そういう使いかたにはもう少し大きな板が必要。

風景写真も入射式露出計でOKという動画

なるほど、という動画です。
「同じ光だったらどこでも同じ。」という考え方もありということで。
「入射式は室内用。遠くにあるものは測れない。」という考え方がミスリードと。
 フィルムのラチチュードが±2EVあれば、光があたってる所の値 ±2EVで大抵のものは写っていることになるのでしょう。

なおこの方が撮ってるのは、「マジソン郡の橋」(RosemanBridge)のような木製の屋根付き橋ですね。屋根があるのが不思議でしたが、木製のため屋根をつけることで橋の耐用年数が延びるそうです。いまでもあるようですが、車は通行止で、歩行者専用の観光橋になってますね。ちなみに、主人公のナショナルジオグラフィックのカメラマンが使っていたのはNikon Fでした。
「マジソン郡の橋」(RosemanBridge)

同様の説明が以下にありました。

被写体が遠い場合
被写体が遠くにある風景写真の場合、わざわざ被写体の所まで行って測るのは不可能。だが実際にはカメラの位置で腕を伸ばし、光球をレンズに向けて測ればOKだ。主光源である太陽光は、自分が立っている場所にも同じ強さで降り注いでいると考えられるので、どこで露出を測ろうと測光値に大きな差は出ない。ただし白っぽいコンクリートなど地面の反射率が高いと、照り返しの影響を受ける場合がある。こんなときは、光球の下に手をかざして余計な反射を遮ると良いだろう。
このほか入射光式露出計は、ステンドグラスなどの透過光、自ら発光するイルミネーションなどの測光は苦手。このような被写体には反射光式露出計を使用するしかない。」
https://camerafan.jp/cc.php?i=279

また以下のページには、入射式と反射式の露出計を使った場合の比較があって、中間辺りに、橋から川の風景を撮った写真があります。反射式では空の明るさに引かれて暗く写ってますが、入射式だと明るめに写ってます。結局、同じ光を浴びているのであれば、入射式ではそのままの値が使えるということになります。
https://photo.yodobashi.com/live/lightmeter/02/

結局、同様の光を浴びている風景写真の場合、入射式で設定値を仮ぎめし、スポットメーターがあれば、明暗箇所をチェックすれば万全ということかもしれません。
反射式の場合、空とか明るい部分に引かれるので、全体的に暗めになり、暗い部分が真っ黒になってしまう可能性がある。問題は、被写体の大部分とカメラの位置に明暗差(光の当たり方が違う)がある場合だろう。

Zone SystemとSpot meterの使い方

簡単なスポットメーターの動画があったので貼っておきます。(英語です)
現像時間の調整はシート・フィルムでないとできませんが、以下が目安だとか。
現像時間の増減で、明るい部分(ネガで暗い部分)のゾーンが増減する。それによりコントラストの調整をするようです。暗い部分(ネガで透明の部分)はフィルムに写っていないので、現像時間を増減させても変わらない。
N-2 ⇒ 標準x0.6 (明暗差が大きいコントラストが高いネガ)
N-1 ⇒ 標準x0.7
N+1 ⇒ 標準x1.4
N+2 ⇒ 標準x1.4×1.4(x2) (明暗差が小さいコントラストが低いネガ。)

ロールフィルムでも、コントラストの弱いネガになる場合は、現像時間を伸ばすことでコントラスが上がることになる。ということ?


結局、スポットメータで、表現したい一番暗い部分を測り、それの+2段で撮影する。そして、明るい部分の測定値をもとに、(撮影+2段)を基準に現像時間を増減する。これで、標準±2段のネガができあがる、ということらしい。

ロールフィルムでも、明るい部分、暗い部分の測定値と、実際に撮影する設定値±2EVぐらいを比べることで、黒く潰れるか、白飛びしてしまわないかがわかることになる。例えば、晴れた日の空が多くの部分を占める場合、地上部分が黒く潰れないためには、地上部分+2段ぐらいまでは開けないといけない。逆に風景の明るいを表現するためには、明るい部分-2段絞るぐらいになる。

今年は露出を考えるということで。スポットメータも用意しないと。

露出計

 今年は、中判や大判をやろうということで、露出計を再チェック。いつも使うのは左のセコニックL-308B。1代目は荒崎の海に水没させてこれが2代め。首から紐でかけるのは危ない。そういえば、最初のニコンのデジカメも同様な状態で水没させてしまった。水から持ち上げたら、カメラの中から水が排出されたのには幻滅。少しも密閉されていなかった。いずれにせよ、セコニックの露出計の値は信頼できる。

 真ん中はコシナの露出計VCメーター。アナログだけど値はセコニックと変わらない。ベッサTやM6に内蔵しているのもこんな感じの露出計だ。普段は増設用のシューに付けて携帯して使っている。ハッセルのシューアダプタを今年2番目の購入品ということで買ったので、これからは、ハッセルにもつけることができる。あとハッセルの丸型のセレン式露出計も一応あるが、アナログ式で出番はない。

 左はゴッセンのデジシックス2。久しぶりに電池を入れてみた。EV値を測って、それから上に付いてるダイヤルで、絞りとスピードの組み合わせをアナログ的に読み取る仕組みだ。小型携帯性が良さそうで買って見たが、セコニックと比べると、入射式は同じ値だが、反射式が一段多めにでる。保守に出してみたが、仕様らしい。(他の個体も同じ) これには、補正機能が付いているので、それで一段落とせばよいのだが、そうすると今度は当然入射式が一段落ちることになる。ということで、これまで出番が無い。なので、これから買うのであれば、デジシックス2は選択肢から外した方が良い。

【2025/01/14 追記】受光角度を調べたらL308Bが40°(35mm判60mm相当)、デジシックス2が25°(35mm判100mm相当)でこれでも違いが出るようだ。持ちての若干の違いで値が変わるのは、この狭いことが関係あるのだろう。L308Bと比較したら入射式でも違いがあるので、とりあえずデジシックス2の表示を「2/3段落とす」ことで調整してみた。これで、入射、反射とも近い値がでるようになった。なお、コシナVCメーターの受光角は30°となっているが、値はL308Bと変わりない。いずれにしても比較する場合は、18%グレイの板とか同じ条件で計測する必要があるので、板をオーダーしてみた。
 デジシックス2は受光範囲が25°(35mm判100mm相当)と狭いこと、測定値との比較機能が付いていることから、デジシックス2は(広い)スポットメータみたいな使い方を想定しているみたい。基準値±2EVに入っているかのチェックができる。

ピンホール写真用の露出計

 普通の露出計は測る範囲が40°程度だと思う。これは35mmカメラで60mmのレンズの写角だ。しかし、ピンホールカメラの写角は100°を超えるので、普通の露出計で測ると向ける方向で結構値が変わり迷いが出る。実際は最高点と最低点の平均をとるとかあるのだろうが、面倒だ。そこで使っているのがコンデジ。使っているGRの焦点距離は28mmなので、75°ぐらいの範囲で平均測光してくれていることになる。これで、写角の中心方向を測れば、大きくちがうことはまず無いし、迷いも起きない。

 しかし、ピンホールカメラの場合もう一つ問題があって、F値からでてくる露光時間は、中心部のものでしかない。120°の写角のピンホールでは、周辺部では2段落ちていて、真ん中から外では約1段落ちていることになる。なので、トンネル効果を狙う場合は別だが、全体的に適正な露光時間(±1Ev以内)にするには、1段ぐらい時間を伸ばした方(倍にする)がよいことになる。

 なのでピンホールカメラの場合、計算で出た露光時間にシビアになる必要はなく、長めに開けた方がよさそうだ。

 なお、普通の露出計を購入する場合は若干大きいがSEKONICのL-308B&そのシリーズが良い。ゴッセンのDiGI SIX2は反射式だと一段高めにでるので要注意。電源をOFF出来ないので電池の消費も激しい。小ささに惹かれて手を出さない方が無難。

ピンホール露出時間あんちょこ表

 最近使っているのが下の露出時間のあんちょこ。これはZero2000(F138)でケントメア100の場合。真中の列がフィルター無し、右の列がY2フィルターの場合(ISO50で計算)。F=150ぐらいでは晴れた日は1秒前後なので、Y2フィルターを入れたほうが2~3秒となり誤差も少なくなる。また、1秒以下だと露出時間をコントロールできない。Ev=10以下だと、分単位の撮影時間となるので、Y2フィルターは外すことになる。

 例えば、EV=10ぐらいだと、計算値では19秒だけど、フィルムの特性から40秒の露光が必要。イエローフィルターをつけていると、計算値は倍の19秒の37秒だけど、フイルム特性の補正から95秒の露光が必要となる。単純に40秒の倍にはならない。 

 具体的な使い方は、まずコンデジ(GR digital II)のISO100固定で同じ方向を撮影し、F値とシャッタースピードから、右の欄のシャッター時間が得られる。Ev値も確認できるので、間違えることはない。GR digital IIは設定で、256分割、中央、スポット測光とか選べるが、基本は分割平均測光だ。コンデジの焦点距離は28mmなので、画角で2/3程度はカバーしていることになる、周辺部はどうせ減光するからあまり関係ないようだ。これまでのピンホールの撮影で露出を外したことはない。逆に測光角が狭い露出計だと、向ける方向で値が違うので、20mm以下の超広角撮影では迷ってしまうだろう。

 夕方まだ明るくてもEv値が思ったより小さいことがある。これは瞳孔が開いているためだろう。特に夕方は、人間の感覚は誤差が大きいのであてにならない。

【追記 2025/01/22】Y2フィルターだと1/3段しか減光しないので、ここで一段減光するのはYA2(オレンジ)フィルターの場合。

スマホ露出計の補正

 スマホに露出計のアプリをダウンロードして使うことがあると思いますが、スマホの露出計が正しい値を示しているかはわかりません。なぜなら、そのアプリを作成した人は別のスマホのハードを使用して校正しているからです。なので、単体の露出計と比較して校正してみる必要があります。

 私のHDファイヤーにロードした「Light Meter」では露出計とくらべ、1.5Evも低い値がでていました。では、露出計が無い場合は何を使って校正すれば良いか? デジカメと露出計を比べた場合ほとんど差はありませんでした。なので、デジカメと比べればよいのですが、デジカメの場合Ev値を表示をしてくれているものはほとんど無いと思います。そのため、絞り(F)、シャッタースピード、ISO値からEv値を計算するソフトを作ってみました。これで計算したEv値とスマホのメータのEv値に差がある場合には補正する必要があります。補正機能はアプリに標準として付いていると思います。

 小型の露出計では精度が出ていないものもあるので、このような方法で比較してみることも必要です。

EV値の計算

引き伸ばし機の露光時間

 フィルムプリントの一番アナログ的なところが、数秒ずつ違えて段階露光をして、露光時間を決めるところ。普通に考えれば、印画紙の感度が決まれば、引き伸ばし機から出る光の照度で、おおまかな露出時間はきまるはずだ。なので、より狭い範囲で段階露光ができる。しかし、これを説明したものは見たことがない。実際、照度計とタイマーを連動したも装置もあるのだから、照度計があれば、計算できるはずだ。セコニックのL-308Bには簡易的な照度計機能がつているので、これを使えばなんとかなるはずと思う。

 例えばキャビネで焼いたものを、8×10に焼き直す場合には、照度の違いぶん、露光時間を長くすればよいはずだ。ただ長時間露光なので、正比例していないことも考えられるが。これを機にちょっと実験してみよう。