ピンホールカメラの広角/標準/望遠レンズ

 ZeroImage4x5を見て思ったのが、ピンホールカメラの広角/標準/望遠レンズはどれにあたるのか。ZeroImage4x5は25mmのフレームを3段重ねて使うが、たぶんこれば、ピンホールカメラでの広角/標準/望遠レンズにあたるのだろう。まず一段の焦点距離25mmの時画角は143°(135の7.5mm)、二段の焦点距離50mmの時の画角は113°(135の15mm)、三段の焦点距離75mmの時画角は91°(135の20mm)。したがって、3段で135の7.5mmから20mmをカバーしていることになる。当然さらに段数を増やすことはできるが、超広角の視的効果は薄れ、ただのピンボケ写真に近くなってしまう。

 従って、4×5での標準レンズは焦点距離50mmで画角113°となる。これはピンホールカメラのイメージサークル120°の範囲内であり、周辺減光もまだひどくない。これを120の6x9に当てはめると焦点距離35mm(画角110°)程度、6×6であれば25mm(画角115°)にあたる。ZeroImageの6×9が40mm、6×6が25mmになっているのも、これを考慮しているのだろう。当然135のフィルム/カメラではこの画角は得られない。

 なので、ピンホールカメラの特徴を生かした作品をつくるのであれば、少なくとも中判(120)フィルムを使い、焦点距離は、6×6であれば25mm前後、6×9であれば35mm前後を選べば良いだろう。なお、レンズの穴の大きさは、Root(焦点距離)x0.036という理論式が得られており、焦点距離がきまれば、穴のサイズも決まってしまう。

 昔はこれを試行錯誤の自作でやっていたようだけど、ここまで机上で検討でき、市販品のなかから最適なものを選ぶことも可能になっている。したがって、ピンホールカメラによる作品作りも、自作ができる人だけのものではなくなっている。

 これに加えて、露光時間も、昔は感や経験にたよってやっていたようだけど、フィルムのデータをもとに最適な露光時間を計算できるようになっている。ピンホールカメラといえどもカメラであり、明るさを露光計で測れば、正確な露光時間を決められる。それに例えば必要露光時間が2秒と計算で出た場合。1秒から4秒は±1EVの範囲なので、大きな失敗写真になる可能性もほとんどない。

ZeroImageのピンホールカメラが届いた

 4×5用のピンホールカメラが届いたが箱の四方に大きなサインがあった。送付の連絡があってから、香港から5日で届いた。このカメラは25mmのフレームをゴム紐で重ねて焦点距離を可変できるようになっている。購入したのは3段セット。焦点距離に応じて、ピンホールの大きさも回転式で替えられる。50mmまでしか使わないだろうからとりあえず2個だけ開封した。
 重量はフレーム2個と4×5のフィルムホルダーを加えて506g。1個ならばホルダー込で330gぐらい。4×5のカメラは軽く2kgオーバーなので、驚異的な軽さだ。木枠しかないので当然といえば当然だけど。
 画角は1枚(25mm)の時143°(135換算約7.5mm)、2枚(50mm)で113°(135換算約15mm)、3枚(75mm)で91°(135換算約20mm)。1枚の時は120°以上は2EV落ちていることになる。

 このまま、4×5の120ロールフィルムホールダ(750g)をつけることも可能だけど、重量があるのでくくり付けて固定するのが厄介だ。また、焦点距離25mmのZero2000がすでにあるので意味もない。

 こちらは別ルートで入手した中判6×9用のピンホールカメラZero 6×9。6×4.5,6×6,6×7,6×9のフォーマットで撮影できる。焦点距離40mmだけど、小さめの0.18mm(F235)のピンホールがついている。0.25mmのレンズも入手したので、具合がわるいようだったら張り替える予定。ユニットになっているのかと想像していたが、単に直径5mm程度の薄銅版だった。6×6専用のZero2000よりはガタイが大きめだ。重量は346g。なおZero2000は276g。

 市販のピンホールカメラは中判でも大判でも最小300gの重量しかなく、小型の三脚を携帯しても、十分散歩カメラとしても機能する感じだ。120のロールフィルムホルダーを使ったピンホールカメラはどうしても1kgを超えてしまい、また、三脚もそれなりにしっかりしたものが必要で、散歩には向かないと思う。下の写真の三脚は、ホルガの試写に用いたもので、50cm程度しか伸ばせないのが難だけど、カメラが軽いのでとりあえず使える。4×5の散歩写真も可能なわけだ。

 ホルガは手軽にピンホールカメラに改造できるのが良いが、難点は光線もれだ。やはりそれ用に設計されたものの方が、心配なく撮影に集中できる。