カメラの露出の考え方

 カメラの露出の説明では、例えば「ISO100のフィルムを使い、晴れた日ならEV14なので、絞りはF11で、シャッタースピード(ss)は1/125で良い」とか説明されるが、これが物理的にどういう意味を持つかの説明は省かれている。あとは、F11と1/125から相対的な話が進むわけだ。これは、簡単にわかりやすく説明しているつもりなのだろうが、かえって分かりにくくしている。

 これを物理的に説明すれば、ISO100のフィルムが適正に露光される明るさを基準(EV0)として、晴れの日の明るさはEV14だ。これは2の14乗倍(x16384)明るいことになる。なので、そのままこの光をフィルムに当てると真っ黒となる。被写体から反射される光(EV14)を、フィルムの適正露出(EV0)の明るさまで14EV(14段)暗くするのが、カメラの役目だ。

 フィルムのEV値に対応した、カメラの機能の基準は絞りがF1、シャッタースピード(ss)が1秒で決められている。
 ssを半分づつ縮めていと、1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,1/64,1/128となり1/125のssでは7段暗くしたことになる。
 絞りは若干複雑で、絞りの大きさの単位は直径に比例している。しかし光量は面積に比例するので、F1からF4へ1/4にしたとしても、その2乗で効いてきて、2段ではなく4段絞ったことになる。ここで、F1からF11まで一段づつ絞ると、F1.4,F2,F2.8,F4,F5.6,F8,F11となり、F11までには7段絞ったことになる。
 ssと絞りを合計すると、7+7=14段となり、カメラにEV14で入った光が14段(14EV)暗くされて、フィルムにはEV0の光として届くことになる。

 同じ環境でISO感度が高いフィルムを使った場合、余計に絞る必要がある。例えば、ISO200のフィルムの適正照度はEV-1、ISO400はEV-2であり、ISO100のフィルムより暗い光でも露光する。なので、ISO100のフィルムのときより、それぞれ1EVと2EV光を絞る必要がある。これは下の図を見れば明快だ。

 なお、露出補正は露出計側の問題だ。露出計は被写体を反射率18%のグレイと想定して、それがグレイに写るように測定している。したがって、被写体が白い物、例えば雪の場合でも、被写体がグレイと想定して照度を高く(EV値を大きく)測定してしまう。実際にはEV14しかないのに、EV16とかで測定してしまう。それに応じて自動露光のカメラなら、16EV絞ってしまう。なので誤測定分の2EV開ける(+補正)必要がある。同様に、暗い被写体は実際より暗く(EV値を小さく)測定するので、その分絞る(-補正)必要がある。±補正は、段数とは符号が逆方向になるので注意が必要。

 同様のことは被写体にも言える。例えば空と地上の明るさは4段ぐらい違う。写真で空の部分が大きい場合、平均測光だと、地上だけの場合にくらべ、度明るく測定しカメラはその分絞るので、地上の部分は暗く写る。地上の被写体を普通に写すためには、地上の部分の測定値にくらべ、1段絞る程度に抑えないといけない。スポットメータがあるのであれば、一番暗い部分の測定値にくらべ、2段絞ると地上の部分は適正露出になる。その極端な例が太陽が写野に入る場合で、この場合でも、地上の風景をちゃんと撮りたいのであれば、地上の露出に合わせないと、太陽だけ光る真っ暗な写真となる。

 また、露出を説明しているところでは、「EV0とは、ISO感度が100で、絞りがF1.0で、シャッタースピードが1秒での適正露出。」とか説明されている。しかし、これも知らない人を混乱させる説明だ。絞りとシャッタースピードはF1と1秒が基準というだけで、段数の合計が「0」(カメラをそのまま通過)ならば、どんな組み合わせでも良い。例えば、F1.4なら2秒でもいい。「EV0はISO100のフィルムの適正照度」ということだけで、EV0の説明に、絞りとSSというパラメータは余計なものでしかない。

Vision 3 250D(16mm)入手

 本来は、Minolta-16 MG-Sでデビューするはずだったけど、現像上がりが真っ黒でお流れ。次回まで持ち越しということで。リムジェットも500Tと同じく重曹で落ちたので、特に現像には問題無し。

訳有りのMinolta-16 MG-S試写NG

 Minolta-16 MG-Sを試写してみたが、駄目だった。
 現像上がりのネガが、光があたっていない所以外真っ黒の状態。光が当たっていない所は透明なので、現像自体は問題ないと思われる。結局、最悪シナリオの2000円のストラップということに。たぶん元の持ち主が落下させて、シャッターまわりがいかれているのだろう。残念。

【追記】ということで、あきらめてカメラの墓場BOXにいれたけど、単純な光漏れなら対処できる可能性もありそうということで、とりあえずBOXから引き上げた。
 そして、どうせ手をかけるならということで、分解して速度表示の邪魔をしていた鉄片を除いた。カウンターが動かないのもこの鉄片がカウンターにからんでいたからだった。鉄片を除いたらカウンターも動くようになった。また目障りな、ファインダーの中を動いていた、赤いプラ板も除去。ついでにファインダーも磨いた。これで見やすくなった。
 この機種の分解映像はWEB上になかったけど、結構簡単に上下のカバーを外すことができた。ただ、ネジが1本無かった。ということは、前のオーナも開けたことになる。なので、単純には治らない可能性もある。ジャンクカメラにはジャンクカメラ用のカニ目が必要ということで。
 このカメラのフィルム室には、普通はないモルトが貼ってあり、元々光線漏れに問題があったのだろう。

【さらに追記】カウンターが動き出してしまうと、「S,・,18,・,16——-1,E」となり、Eになると、裏蓋を開けないと(フィルムを交換しないと)、シャッターが押せない機構になっているよう。Minolta-16IIと同じと言えば同じだけど。なので、Sにセットしてからフィルムを入れないといけない。

【最後の追記】やはり光漏れの程度が大きいので、もしやと思ってレンズの前からライトで照らすと、フィルム室に光が漏れてきた。やはり、シャッターが完全に閉まらない個体のようだ。ということで、墓場ボックスへ逆戻り決定。結局、落下でシッターが壊れたという最初の予想が当たっていた。で、前のオーナーも開けてみたが、無駄だった。

「マイ・フォト・デイズ」by 池田葉子

 5年ぐらい完全にやめていたフィルム写真を、2017年に復活させて早8年余り。
 なんでまた始めようとしたんだろうと考えたら、答えはこの文庫本でした。
 2008年のデジタルカメラ絶頂期に出版された、LomoやHolgaなどのそれまでは
 トイカメラと呼ばれていたカメラで、フィルム写真を楽しんでいる、
 四国のアマチュア写真家が出した本。
 いまのフィルムブーム再来の先駆け的存在。
 この本ではフィルム写真のいろいろな表現方法を試していて、フィルム写真も
 結構遊べるなと思った次第。

訳ありだったMinolta-16 MG-Sを入手

 やはり画角は広い方がよいということで、同じ16mmフィルムで110と同様の12x17mmの絵が撮れるMinolta-16 MG-Sを入手してみた。とりあえず一番安いやつということで、落とせたのが「動作未確認」の1000円+送料合計で約2000円。最悪、三脚穴で使える金属ストラップだけでもOKということで。フィルムマガジンはMinolta 16のものと同じだ。

 で届いた個体をチェックしたところ、見えるとことで、①シャッタースピードを表示する穴に、上から紙が落ちてきていて、表示が見えない。②カウンターが動いていない。2つの不具合が見つかった。

 この機種はシャッタースピード固定のAEなので、露出計が動いていないと使えない。なので、次にLR44の電池を入れて露出計のチェック。どうにか動いて一安心。シャッター速度は見えないが、回すと4回手応えがあり、とりあえず絞りが一段づつ変化している。使える速度は、1/30,1/60,1/125, 1/250,1/500の5段らしいので、それに応じて動いているということになる。普段は1/125で使えば、設定スピードが見えなくてもどうにか使えそう。F8より下になりそうなら、絞り表示に応じて、スピードダイヤルを動かせばよいだけだ。カウンターはメモしてしのぐことに。あと、このような機種には珍しく、フィルム室にはモルトが貼ってあり、大抵の個体のモルトはボロボロだ。なので、とりあえず、モルトは張り替えた。フィルムのISO値は50~400まで設定可能だ。 

 距離設定はなく、Rokkor 23mm F2.8 (3群4枚)でのパンフォーカスだ。説明書では3.5m(10ft)の固定焦点となっているが、1feetは0.305mなので、3.5m(11.5ft)の誤りだろう。Minolta-16IIの2.5mより1m遠くにあるが、そのかわり4feet(1.2m)撮影用の補正フィルターが内蔵されている。さすがにパンフォーカスで、固定焦点を2.5mに置くのはまずいと考えたのだろう。以下の表は計算値。3m~5mぐらいの範囲であれば特に問題ないことになる。それより近くや遠くは絞った方が良い。

被写界深度 (レンズ:Rokkor 23mm/F2.8 固定焦点: 3.5m)

絞り最小距離(m)最大距離(m)
2.82.75.1
42.46.3
5.62.19.2
81.930.1
111.6
161.3

 あとは試写してシャッターと絞りがまともに動いているか見るしかない。

【追記】結局、シャッターが閉まらない訳あり品だった。

Minolta-16II の被写界深度

Minolta-16IIのマニュアルを見ると被写界深度は以下の表のようになっているので、レンズの固定焦点の位置は2.5m付近にあるようです。近接撮影や無限遠の撮影にはオプションのフィルターを使用します。
 
被写界深度 (レンズ:22mm/F2.8)

絞り最小距離(m)最大距離(m)
2.82.03.3
41.93.8
5.61.74.9
81.58.2
111.362.8
161.1

ローライA110でDouble X(16mm)を試写

 フィルムの方向を間違えて、パーフォレーション部分に写ってしまった。
 50cmのフィルム長では13コマしか写せなかった。そのうち1枚は真っ黒、
 たぶん光センサーを指で覆ってしまったのかも。(と思いたい。。)
 この画像のノイズは3割カットしているが、流石にテッサーという感じ。
 16mmカメラに比べフィルムが広い分だけ画角が広いので撮りやすい。
 110カメラの画角は17x14mmとされているが、実際には20x14mmぐらいが
 写っている。市販の110フィルムだと、17x14mmしか写る範囲がない。
 ロモの110フィルムで外れた部分は2重露光のような感じになっている。

[Rollei A110, Double X(16mm), D96(1+1) 9.5分@20℃, Noise 30%除去]

Double Xの粒子(グレイン)も消えてしまう

 デジタル写真も、ノイズを載せてフィルム写真風に見せる現在、フィルム写真の粒状性を、フィルムの銘柄、現像液の種類、現像方法などで、アナログ的に制御する古き良き時代は終わっているのかもしれない。

 ノイズを消して、デジタル写真で使っているXXフィルム風ノイズを入れれば、銘柄を替えられることになる。

古写真復元

ノイズ除去技術を使えば、簡単に古写真も現代の写真として蘇りますね。
これはPhotoDirectorでノイズを除き高画質化して、Silkypixで自動補正した写真。
写真は敦煌の莫高窟で発見された文書を1908年にロウソクの灯りを頼りに調査しているペリオさん。積まれている文書は900年代の始めに洞窟に隠された文書。この部屋の入口は土で埋められて壁になってました。
ただ、右上の部分は暗いのでうまく出ていません。原紙を使えばもっと良くいくでしょう。