対角画角と縦・横画角

 このWEBで説明しているピンホールカメラの画角は全て対角画角だ。なので、縦や横方向の画角は小さくなる。6×6と6×9で計算してみる。前提として、6×6のフィルム長を56mmx56mm(対角長79.2mm)とする。また6×9のフィルム長を83mmx56mm(対角長100mm)とする。

 まず、6×6のカメラで対角画角が120°の場合、焦点距離=(79.2/2)/tan(60) =22.9mmとなる。なので縦・横方向の画角=2xarctan((56/2) /22.9)=101.5°となる。従って、上下左右には±50°程度の画角。

 次に、6×9のカメラで対角画角が120°の場合、焦点距離=(100/2)/tan(60) =28.9mmとなる。なので横方向の画角=2xarctan((83/2) /28.9)=110.3°。縦方向の画角=2xarctan((56/2) /28.9)=88.2°となる。したがって、6×6に比べて、横方向は約10°広いが、縦方向は逆に10°狭いことになる。

 いずれにせよ、この120°対角画角のカメラは、縦方向は90°に近いので、対象物の高さの半分の距離までよらないと、画面いっぱいにはならない。例えば1mの高さのものは、50cmまで近づく必要がある。30cmだったら、撮影距離は15cmだ。

 また、明るさは距離の2乗に反比例するので、120°(対角の端)の地点は中央より距離が2倍で光が2段分落ちていることになる。しかし、レンズから6×6の横の端までの距離は36.2mmで中央に比べ1.6倍の距離だ。なので、落ちる段数=2xlog(1.6)/log(2)=0.68×2=1.36となり、1と1/3段の落ち。なので、直系56mmの円の範囲はほぼ1段しか落ちていないことになる。なので、適正露出で撮ったフィルム上では余り目立たない。日没とかセンターが明るい状況で撮ると周辺減光がみえてくることになる。