カメラ出荷統計

 2024年の出荷はコロナ明けということもあって前年比1割増しの849万台ということで、2021年レベルまで回復していますが、大勢に影響はないですね。スマフォに食われる前の2010年にくらべ、レンズ一体型は2%、レンズ交換式は51%というレベルです。ただし、レンズ交換式のピークは2012年にあり、それに比べると1/3のレベル。

 売上でみると、2012年の総出荷額は1兆4681億円、2024年は8247億円でほぼ半減。レンズ交換式でみると、2012年は753億円、2024年は723億円とほぼ横ばい。結局、スマホの影響でレンズ一体型は高級機を除きほぼ死滅したということ。円安もあるけど、レンズ交換式は単価が3倍になっていることになる。売れるレンズ交換式の高額商品を出し続けないと、先はないという感じの市場。なので、スマホ市場で計画的陳腐化ともよばれる手法と同じく、製品寿命を短く保ち、買い替え需要獲得のために新製品を短い期間で出してくるわけだ。これが、製品寿命を長く、同一機種を何年も販売し続けたフィルカメラ黄金時代との違いだ。そこには、カメラ人口が増えるという見込みもあった。しかし、スマホのカメラ機能の向上は、未来のカメラユーザーまで広く飲み込んでしまった。それを、上のグラフが表している。固定顧客を掴んでいないメーカは退場するしかなくなる。

 また、みんながスマホを持っている現状で、あえて単体カメラを使いたい人には、現状のデジタル機であれば、高めのカメラという選択肢しかないことになる。ここが、中古フィルムカメラ市場に人気が残る原因だろう。