フィルム写真からノイズ除去して得られるもの

 35mmカラーフィルムでも空に粒子が出てちょっとと思う時があるが、このソフト(PhotoDirector 365)はその悩みを消してくれる。これは、ノイズが出てしまった例。このソフトにかけて除去すると、粒子の舞っていた空がきれいに晴れ上がる。

 また夕暮れ時には露光が足りず粒子が出やすい。これもクリアにしてくれる。

 しかし、何と言っても一番効果があるのが、フィルムの小さい110や16mmの粒子の多い写真。これはロモグラフィのサイトにある、「ありあ」さんという作家さんの110での作品(左側)からノイズを抜いて、若干暗めにした例(右側)。赤いアマリリスとモデルさんのドレスの対比が良い。作家さん達が110フィルムを使うのは、粒子で作り出される、昔の絵葉書のようなマットな質感を大事にしているからだ。なので、本意ではないと思うので、短期間に例として掲載します。 しかし、これを見たら、ある程度予想していた以上の粒子の多さから110フイルムから撤退した人達も、一考の価値があるのではないかと思う。逆に、デジタルカメラのようでフィルムで撮る意味がないと思う人もいるとは思うが。(ノイズと小石の区別がつかなくてノッペラな地面にはなっている。) しかし、左の鉢の葉のつやつや感は110で撮ったとは思えない。

 これはロモグラフィの投稿サイトにあるMinolta-16 MG(フィルム上の画面サイズは110と同じ)で撮られた写真。フィルムはVision-3 250D。ノイズはそこまでではないが、ノイズ除去と手ブレ補正をすると、デジタル写真になってしまう。事情を知らないで、どちらがオリジナルか聞かれたら、迷ってしまうぐらいだ。

 ノイズ除去技術はデジタル写真のRAW現像用に開発されたようだけど、フィルム写真を生き返らせる技術でもある。粒状性向上のために、わざわざ中判を使う必要もなくなってしまう。現状のデジタルカメラのフィルムの雰囲気を出す技術はこれの反対を利用したものだろう。ノイズ除去の技術はここ数年発達が加速したようだけど、これまでフィルムで使えなかったのはデジタルカメラ出力のRAW用が多かったから。現状の技術でさえ110の写真がこんなになるんだから、「もうフィルムでいんじゃない。」という世界になっているような。アナログの匂いは薄くなるけど。