ピンホールカメラでモノクロ写真用印画紙を使う

 フィルムの代わりにモノクロ印画紙を使うことも考えてみた。モノクロ印画紙の感度はフィルム(ISO100)より20倍程度低く、ISO=5程度のようだ。また、もともと感度が低いので、長時間露光による劣化は考えなくてよさそうだ。なので、晴の日(Ev=14,ISO100)に、仮にF200で2.4秒の露光時間の計算結果が出た場合、印画紙を使う場合には48秒程度になる。F値が確定しているのであれば、とりあえず50秒程度で試してみればよい。未確定であればその前後で試すことになる。
計算式としては Ev= (log(1/48) + log(200)*2 + log (100/5))/log2 =(-1.7+4.6+1.3)/0.3 = 14
計算式で把握しておけば、露出計で出る測定値で、露光時間を決めることができる。天気を見て感で時間を決める必要はない。逆にスマホのアプリで時間を決定できるということだ。この例の場合、ISO=5,F=200を設定すれば、状況に応じて時間を設定してくれる。

 印画紙を使った場合には像が白黒反転しているので、現像して乾燥させたあとに、別の印画紙と密着焼きをして、普通の白黒像に戻す。WEB用だけなら、とりあえずデジタルで反転させる手もある。印画紙を使う場合は、4×5のカメラを使えば、おおげさにはなるが、F値も簡単に変えられ、フィルムホルダーに印画紙を装着するだけで、作業も簡単そうだ。8×10の印画紙なら、4等分すればちょうど4×5のフィルムサイズになる。

 Zero2000も縦7.5cm横8cmに切った印画紙をフィルムの代わりに挟み込めば、簡単に印画紙でも写真が撮れそうだ。こちらは、印画紙の詰め替えを暗箱でやらないといけないが。

【印画紙のISO感度】イルフォード印画紙の説明文では「MULTIGRADE RCペーパーは、フィルム ISO 3~6と同等です。」となっているので、一段の幅がある。例えば晴れの日(EV=14)のF200での露光時間は40秒(ISO6)から80秒(ISO3)の幅がある。

ピンホールカメラを作るなら

 ピンホールカメラを4×5のカメラでやろうかなと思っていろいろ揃えているが、やはり重量がネック。4×5本体と67のロールフィルムホールダーの組み合わせでは、かるく3kgを超えてしまう。

 でいろいろwebを見て周ると、やはり母体はHolga120が軽くて、巻き上げなどの機能も付いていて良さそうだ。また、HOLGA改造では、ピンホールのレンズの部分をフィルター枠を使っていて、便利そうだ。ということで、早速Hardoffで52mmのUVフィルターを4枚660円で仕入れてきた。これだと4×5の本体を使う場合でも、レンズボードにフィルター枠を貼れば、簡単にピンホールカメラになってしまう。またUVフィルターも簡単につけることができる。

Zero2000(F138)ピンホールカメラの露出時間

 Zero2000ピンホールカメラをケントメア(ISO200/400)で撮る場合の露出時間をまとめた。
 ケントメア100の場合、晴れの日(Ev=14)は約1秒、曇りの日(Ev=12)は約7秒、夜明るい室内(Ev=6)は約22分、夜景(Ev=4)は約2時間。
 ケントメア400では、晴れや曇りでは1秒を割ってしまうので、どうしても撮る場合にはNDフィルタが必要。晴れの日はND4フィルタを付けて約1秒、曇りの日(Ev=12)で約1秒、夜明るい室内(Ev=6)は約5分、夜景(Ev=4)は約30分。(EV値はISO100換算)なお、1秒前後のスピードの時は、NDフィルターで調整したほうが正確な露光値になる。

 まとめると、Zero2000(F138)ピンホールカメラを使う場合、晴れの日の屋外であれば、(白黒でもカラーでも、) ISO100のフィルムを使えばシャッターを1秒程度開けば大体写るということのようです。夜の室内はiSO400のフイルムで5分程度。夜景はISO400のフィルムで30分程度。

ピンホールフイルムカメラでビルの夜景を撮るには

 工場夜景のような、ビルの夜景のEv値はISO100でEV=4ぐらいのようです。したがって、F138のカメラでは計算上は20分(1190秒)となるけど、相反則不軌の特性を考慮すると数時間となる。したがって、ISO100のフィルムの選択肢はなく、最低ISO400のフィルムを使って時間は1/4となり、計算上の露光時間は5分、相反則不軌を考慮して30分程度となる。

 なので、このぐらいまで暗くなると、Delta3200などのフィルムを使うのも考慮する必要がある。この場合、露光時間はISO400の1/8となるので、計算上の露光時間は40秒、相反則不軌を考慮しても2分程度に収まることになる。

 またEv=6の夜の室内では、Tri-X系統ではないISO400のフィルムを使うのが実際的だろう。ただし、昼間の撮影では1秒を切ってしまうので、ISO400フィルムを用いる場合には、NDフィルターで光量を落とす必要がある。

ピンホールカメラ(Zero 2000)が届いた

 ピンホールカメラが届いた。よく見るスタンダードタイプにレリーズのアダプターとフィルターのアダプターがついたもの。NDフィルターで露光時間が延ばせる。使うフィルムは120の6×6用。35mmフィルムで使うことも考えたけど、とりあえず1000円以内で買えるフィルムもあるようなので、まだ遊べる感じ。
 正式な仕様は、ピンホールが0.2mm、焦点距離25mm、F値138となっている。大きさは13cm x 8cm x 4.5cmで、普通のカメラと同じような大きさ。
 試し撮りしてみないと。

フィルムを用いるピンホールカメラは奥が深い

 フィルムを長時間露光する場合には相反則不軌の特性の影響を受けるようだ。簡単に言えば、光の少ないところでは、光の強さに比例してフィルムが感光してくれない。なので、1秒以上の露光時間が必要な場合には、計算で出てくる必要なシャッター速度の数倍の時間の露光時間が必要。

 例えば、Tri-xのような昔に開発されたフィルムのデータシートには、100秒(1.7分)の露光時間が計算で出た場合、実際には1200秒(20分)露光時間が必要。届いたピンホールカメラには50秒以上の場合12倍すると書いてあるが、これはTri-xなど古いフイルムを想定したもののよう。

T-Max400では300秒(5分)、T-Max100で200秒(約3分)とTri-Xの半分以下なっている。感度を考えれば、同じ光の環境ではT-MAX400が一番短いことになる。計算式は、
 必要な時間=(計算で出た露光時間)exp(フィルムの係数) expは10のべき乗
係数はTri-xが1.54、T-MAX100が1.15、T-MAX400が1.24となっている。同様にイルフォードのフィルムのデータシートではD100=1.26、D400=1.41、D3200=1.33、HP4+=1.26、HP5+=1.31、K100=1.26、400=1.30。
 値段と特性から選ぶとケントメアがいいのかも。(ヨドバシ通販で840円)アクロスは120秒までは補正の必要なしとしているが、6×6のフィルムは今はない。アクロスIIも同じ処方のようだ。カラーネガフィルムの場合、例えばPortra400ではデータは無く自分で試験しろと書いてあるが、他の白黒ネガを同じく、とりあえず1.3ぐらいと考えて撮ってみるのが正解だろう。

 いすれにせよ、特性のわからないフィルムでは、まずデータシートを見て計算し、データシートがないものは、係数1.3ぐらいで撮ってみて調整するしかない。double-Xは映画用フィルムなので、長時間露光は想定されていない、しかし、その歴史から、特性はTri-X(1.54)と同様だろう。

 昼間の数秒の撮影ではだいたいその1.5倍から2倍の値。夜Ev=6(ISO100)の環境で絞りがF=138の場合、計算からは約5分の露光時間が出るが、相反則不軌の特性を考えると、特性が1.3のフィルムでは約30分の露光時間が必要となる。そういう意味では、長時間露光する場合にもデジタルカメラの方が相反則不軌の特性の影響を受けずに有利ということにはなる。天体写真に使うカメラのデジタル化が早々に進んだのはこのためのようだ。

【追記 2024/03/27】昼間の試写用にケントメア100 120を注文してみた。

【追記2024/05/13】PHPによるピンホールカメラの露光時間の目安

コンデジを露出計として使う

 単体露出計を使う場合、部分測光になるため、撮ろうとする方向でも露出計を向けた向きで値が違い、画面全体ではデコボコする。なので全面平均測光の露出を知ろうとすると、コンデジの全面測光(GRではブロック測光)をつかうのが良いのでは無いかと思う。それに、スポット測光や中央重点測光の機能もついている。

 また、単体露出計のL-308Bの受光角は40°。それに対し、焦点距離50mmのレンズの画角は47°でほぼ合っているが、28mmの画角は75°なので、中央の1/4の部分を測光しているにすぎない。

 しかし、デジタルカメラの絞りや速度は可変でなので換算しにくいと思っていた。そこで、これまで撮った写真の記録をグラフにしてみるた。下のグラフのようにEV値を横軸にすると、絞りは3点(F2.4, F3.5, F7.1)しかないことが分かった。したがって、EV値を0.5単位ぐらいで取ると、20位の絞りと速度の組み合わせで夜から昼のEV換算表ができることになる。もしくは、昼用と夜用で0.25単位でつくれば良いかも。特に暗い夜には有効な気がする。じっくり撮る時に使えそう。本当はコンデジ自体でEv値を表示してくれれば良いのだが。デジタルカメラでは余り意味のない、従来の、絞りと速度だけしか表示されない。
 ピンホールカメラのようにF値が固定だと、そのEv表の一つの欄に、必要な露光時間を書くことができる。したがって、コンデジに表示される絞りと速度から、すぐに必要な露出時間が分かる。

 他のコンデジでも同様の仕組みだろうから応用できる。

できた換算表はこんな感じ。

【追記 2024/03/27】1秒以上の露光が必要な時、フィルムでは相反則不軌の特性の影響が出るのでその補正が必要。そのため実際には計算から出た露光時間の数倍の露光時間が必要。ここを参照

ピンホールカメラの露出設定方法

 カメラの露出の延長線として、ピンホールカメラの露出設定を調べてみた。
 ピンホールカメラの場合、絞りの穴の大きさと、フィルムまでの長さ(焦点距離)の組み合わせは一つなので、普通のカメラより考え方は簡単だ。ピンホールはだいたい0.2~0.3mmの穴が使われ、カメラのボディを利用すれば、レンジファインダーの場合の焦点距離は20mm程度。なのでF値は20/0.2でF100程度の固定となる。ISO100のフィルムを使えば、晴れの日(Ev=14)とすると、以下の表からシャッタースピードは0.6秒となる。しかし、0.6秒程度を正確に手で開閉することはできないので、4倍か8倍のNDフィルタを用いて、Evを12もしくは11とすると、シャッタスピードは2.5秒~5秒程度となり、手でも開閉できるスピードとなる。1秒以下の場合に対応するために大判レンズのシャッター部を利用している人もいるようだが、数枚撮るためだけだと、そこまでする必要はないだろう。

 計算していくうちに、ヤフオクで落としてしまったブローニフィルム用の個体はF138となっていた。この場合、晴れの日が1秒、曇が4秒前後でちょうどうまい組み合わせであることがわかる。夜にはISO100のフィルムの場合、数分から数十分の露光が必要となる。このカメラには、露出計で絞りとスピードの組み合わせからF138の場合のスピードを見る換算円グラフが付いているが、露出計でEV値を測れば、下の表で直読できる。

 また、最近のピンホールカメラはデジタルカメラのボディを利用しているらしく、この場合ISO感度を数万に上げることができる。例えば同じF138のピンホールを使ったとすると、ISO感度をISO100から100倍のISO1万にあげてしまえば、1秒のシャッタースピードは1/100秒まで落ちることになる。したがって、今では、長時間露光してからフィルムの現像を待つこともなく、すぐに結果まで見えてしまうことになっているようだ。フィルムを使い、露光具合から、F値を推測する必要もない。しかし、ピンホールカメラによる長時間露光で生じる、動いているものの消失や、川や海での滑らかな波は見ることはできない。

 なお最近はF値138を設定すると、アプリで簡単に露出時間を計算してくれる。これはLight MeterというFreeアプリ。測定値はEv=4.8で約11分。上の表のEv=5.0で約10分とほぼ同じ結果。

【ピンホールカメラのF値の測定】
 新しく作ったピンホールのF値を知りたい場合、デジタルカメラであれば、マニュアルで最適なISO値を決めれば、その時のシャッタースピードからF値は計算できる。
 フィルムカメラの場合、上記表から、EV=12の状態へNDフィルタで持っていき、ISO100のフィルムで1秒から10秒で撮影すれば、F=50からF=200位をカバーでき、その中で一番良いネガの状態のシャッタースピードからF値が推算できる。

【追記 2024/03/27】1秒以上の露光が必要な時、フィルムでは相反則不軌の特性の影響が出るのでその補正が必要。そのため実際には計算から出た露光時間の数倍の露光時間が必要。ここを参照