ローライA26(写真左)は126判と呼ばれるインスタマチックのフィルムパッケージ(写真右)を使用するカメラ。インスタマチックのカメラは誰でも簡単に写真を撮れることを目的としていて、A26でも焦点距離を目測で合わせる以外に設定するものはない。しかし、このインスタマチックのフィルムは2007年にソラリスが製造を終了を最後に販売されていない。したがって、このカメラで写真を撮るためには、インスタマチックの空きフィルムパッケージにフィルムを詰めて使用する意外に方法はない。それでも、撮れるのは一回の巻き直しで10数枚程度だ。そんな苦労をしても使うのは、ましかくな写真が撮れるし、それにゾナーのレンズが使われているから。基本はローライ35のゾナー版と同じとなる。
【問題点(制限)】ISO感度の設定が付いていない(機能はあるようだが、パッケージが対応していない)ので、ISO100のデフォルトでしか撮影できない。なので、使用するフイルムはISO100のフィルムに限られる。
【使用者の条件】基本手巻きのフィルムを使うことになるので、街の現像所に現像を頼むことはできない。なので使用者自身が、フィルムの現像とフィルムスキャンができることが条件となる。
【カメラの入手方法】基本ヤフオクなどで入手することになる。数年前の相場は5千円前後だった。ローライ35の2~4万円にくらべると、数分の一の値段。
【入手時の注意点】AEのカメラなので、自動絞りが動かないと使えない。注意する点は、このカメラは電池が入っていない時点でも、シャッターは機械式なので動いてしまっていること。なので、「シャター切れます」は正常動作とはまだ言えない。この時には絞り全開の状態でシャッターだけが降りている状態。
電池を入れて、ファインダーをのぞくと、正常な個体は写真のように、グリーンライトが点灯し、露光計の針も振れているのがわかる。ただし、室内(Ev8.5以下)だと反応しないので、屋外を見る必要がある。あとこの状態でシャッターを切ると、写真右のように、絞りが半開きで、絞りが動いていることがわかる。電池がないときには、この絞りが全開のままで見えない。絞りが壊れているものは、F3.5・1/60ぐらいでシャッターがおりているようなので、その分NDフィルターで補正してやればどうにか写る。
【電池の装着方法】電池は以下の写真の29のネジを回してはずし、サイド板を開ける。海外の小さいコインが回しやすい。(使っているのは中国の「1壹分」というアルミコイン)オリジナルの電池は水銀電池(1.35V)だけど、PR44(1.4V)の空気電池で代用できる。LR44(1.5V)だと電圧が高いので、絞りが大きめになり、若干アンダーの写真となる。ただ、そのまま入れたのでは、基板側の電極との接触が悪いようで、アルミ箔を2重にしたものを敷く必要がある。
【フィルムパッケージの入手方法】
①フィルムパーッケージは未使用のものが数年前にはヤフオクで2,3千円で出品されていたが、現状は高額なもの意外ないようだ。もし入手できたら、パッケージをひねり分解することになる。コダックのものは固く接着されているようで、なかなか離れない。あまり強くやると破壊してしまうので注意が必要。なかなか離れない場合、ナイフで少しずつ接合部を切っていくことになる。
②フィルムパーッケージが入手出来ない場合は、3Dプリンターで制作した135film to 126 converterを入手してつかうことになる。日本で検索してでてくるものは8千円程度。海外も数千円程度。
フィルムは下の写真のように裏紙に巻かれて右側に入っている。右には心(軸)は無い。これを左側の巻取り軸で巻き取る仕組みとなっている。裏紙無しでも可能だが、光漏れ対策が必要となる。なお、この裏紙は120の裏紙を35mm幅に切り取ったもの。また、多めに巻いてしまうと、A26がジャムってしまうので10数枚撮れるぐらいが安心。ジャムった場合無理に、A26を開けようとすると壊してしまうので、なお、巻き上げが固まった場合には、マニュアルの25ページによると、決して力で開こうとせず、[33]と裏側[7]番のボタンを同時に押しながら開けとあります。
A26では、写真の大きな窓の左下にある小さな窓で、フィルムのパーフォレーションを検知するしくみとなっている。126のフィルムには1コマに1個しか穴が無いが、135のフィルムを使う場合は、穴が連続していて誤動作してしまう。この状態では、2回シャッターを切って2回巻き上げないと、コマが重なってしまう。これを防ぐためには、下のパッケイージのように、この穴をふさぐ必要がある。こうすれば、若干間隔は広がるが、1回捨てシャッターを切る必要はなく、普通に写真がとれる。
穴をふさいだ場合のコマ間隔。おなじ角度で巻かれているので、だんだん広がる。126判のフィルムであれば、パーフォレーションを検出した時点で、フィルム送りのカムがはずれる仕組みになっているよう。
【使用するフィルム】
①通常の35mm(135)フィルムを使用する場合、上の写真のように、片側のパーフォレーションの部分まで映り込んだ写真となる。
上の写真の約66cmのフイルムで約15枚の写真が撮れる(1枚は使えていない)。通常の24枚撮りフィルム(約120cm)の約半分を使えば、1回で13枚程度の撮影が可能。全てを使用すると、パッケージには入りきらない。36枚撮りフィルム(約150cm)の半分だと約18枚の撮影ができる。また、多く巻くと、巻き上げができなくなり、カメラを破損させる可能性もある。上記の幅は約65cm。
②幅60mmのブローニフィルム(120)から35mm幅だけ切り出すと、パーフォレーション無しのフィルムができ、完全なましかく写真が撮れる。1本のブローニフィルムは83cmなので、19枚程度の写真が撮れることになる。現在白黒120フィルムは最安値で860円ぐらい。なので、35mmフィルムを使う場合よりコスト的には悪くなる。この切り出したフィルムに126判のフィルムと同じ間隔でパンチで穴をあけて使っている人がいる。その場合、コマ間隔がせまくはできるが、撮れる枚数が1、2枚増えるだけなので、暗室作業の苦労の割には効果はないと思う。
具体的な切り出し方法は、ホルガを利用し、6×4.5のフレームの、35mm幅の所に焼いたナイフの刃を突き刺して固定し、そこにフィルムを一回通すことで切ることができる。
③海外では126判のフィルム(裏紙なし)だけが円筒のフィルムケースに入れて販売されているようだけど、価格的には約2000円程度(白黒フィルム)。
フィルムの巻き直しの参考動画(Youtube)
私の場合は、いったん巻取り軸に裏紙とフィルムを巻き取った後に、裏紙とフィルムを巻きはじめます。
カートリッジ・フィルム等の販売サイト(このサイトを利用したことはありません。)
【フィルムの残り数が分からない問題】126の使用済みパッケージを使っても、裏紙を使用しない場合には、残りの枚数が不明です。120判の穴のない裏紙を使用すれば、光線もれはそれほど心配ないようなので、裏紙に目印を書いておけば、少なくとも終わりは分かりそう。3Dプリンタのパケージには、基本フィルムだけ巻くようなので、終わりがわかりません。上記販売サイトのものには、フィルムの最後にストッパーを付けてフィルムの最後が認識できるようにしています。