なぜリンホフの距離計にはカムが必要なのか?

 たぶん、リンホフスーパーテクニカに内蔵の距離計(レンジファインダー)の特性と、各レンズのピントの合う位置の特性が違うので、そのずれを解消するような機構になっているのでしょうね。なので、指定のレンズでないと同じ焦点距離のレンズでも合わないという結果も起きるということですね。
【追記 2024/04/05】カタログを読むと、リンホフの販売店を通して購入したレンズには、それに合わせたカム(& 目盛盤?)が添付されるという販売方法だったようです。なので、焦点距離が同じであっても合う保障はありません。

 したがって、120の67等の撮影で、カムは無いがどうしてもスクリーンでのピント合わせができない(or したくない)場合は、内蔵の距離計を使わずに、使用するレンズに合わせて、レーザ距離計で測って校正した目盛盤を作りレールの横に貼れば、レーサ距離計(or 目測)の距離で撮影ができます。例えば、使用するレンズの無限遠のピントの位置が、無限遠の目盛の位置です。次に、正確に例えば5mの位置に置いた物をスクリーンでピントを合わせれば、そこが5mの目盛の位置です。こうして何点か測れば目盛盤ができます。撮影時には対象までの距離を、レーザ距離計(or 目測)で測り、出た距離で目盛盤に合わせればピントは合っているはずです。もともと、手持ちでリンホフの距離計のピントを合わせる(2重像を合わせる)のは重くて至難の技です。CAMBO WIDE等のピント合わせも、ヘリコイドに記載の目盛盤に、目測した距離を合わせるだけです。

 そういう意味では、35mmのライカなどのレンズを交換できるレンジファインダータイプのカメラは、うまい作りになっていることになります。当然仕様があって、それに沿って、ボデイ側とレンズ側がつくられているのでしょうけど。それに対して、大判レンズは距離計を意識していないので、仕様がばらばらなんでしょう。

ようやく分かったリンホフのレンジファインダー化

 リンホフの使いかたを説明したWEBのページはほぼ無いので、レンジファインダー機能の使い方は知りませんでしたが、予想でやってみたところ、機能しました。レーザ距離計で測って0.9mの所がリンホフの距離の目盛では1mちょうどで、4~5m先のスナップで使うにはほぼ問題ないレベルでした。購入後20年目にして使い方が分かった。。

 すでにレンズに合ったカムが設置してあり、距離計が調整してある場合の使い方です。
 ①リンホフの前蓋を開くとこんな感じです。小さなレンズなら付けたままで収納できます。

 ②次に一番上のレールをレンズが載っているレールまでさげます。左側の2つのボタンでレールのロックがはずれます。

 ③レンズが載っているフレームを、前の2つのレバーをはさんで、レールに沿って引き出します。
 ④上のレールも元の位置に戻します。

 ⑤レールの脇に付いている「赤色の無限ストッパー」を立てます。150mmは赤色のようです。したがって、最初にこの位置の先まで、レンズのフレームを引き出しておきます。

 ⑥ストッパーで止まるところまで、レバーをつまんでレンズのフレームを戻します。

 ⑦この位置で、一番上のレールについている「⇒」が目盛版の「無限」の位置にあります。

これがレンジファインダーで使う時の最終形です。一番上のレールは収納時の位置にあります。したがって、距離計を使わない場合でも、150mmレンズの位置はこのあたりになります。90mmは若干後ろ。
 平ボードについている65mmは収納されてるレールの上でレバーをゆるめて、手動でピントを調整します(前のレールでのピントの調整機能はつかえません)。凹みレンズボードについている場合は、微妙な位置にあるらしく、これではピントが来ないようで、フィルムの載るバックボードを後ろにずらします。(凹みレンズボードなら、前のレールでピントが来てもよさそうですが?)また65mmの場合は、前蓋が90°の位置では、映り込んでしまうので、120°ぐらいの最大位置まで下げます。 

 なお重量はカタログに6ポンド1オンスとあるので28オンス(1オンス≒28g)、だいたい2.7kg。なので、これにレンズ、及び67or69のアダプタを付けると4kg弱。なので手持ちで撮るには体力と覚悟がいる。手持ちで持って、本体のレンジファインダーの2重像でピントを合わせるのは無理なような。
 風景写真でこの機能は不要なので、レンジファインダー部を取り外してもらっている人も多いようだ。最初から付いていないモデルもある。