ピンホールカメラ プロジェクト(4)

 とりあえず、印画紙を使ったピンホールカメラを試してみたが、印画紙では明暗のはばが狭すぎて、やはりフィルムを使う必要がありそうだ。しかし、4×5のフィルムは高すぎるので、中版120のフィルムしかない。135mmはやはり解像度に限度がありありそうだ。

 また解像度を上げるためには、焦点距離は短い方が良いとのことで、中版の場合は30mmぐらいが適当だろう。30mmに適当なピンホールの直径は0.2mmぐらい。そう考えると、結局Zero2000のスペックに戻ってしまうことになる。いろいろな試行錯誤の結果できたのがZero2000なのだろう。

 エボニーに67のフォルダーをつける手もあるが、重くなるし、焦点距離も60mmであまり面白みがなさそう。まだ一度も撮っていないので、Zero2000の試し撮りをやってみることに。

ピンホールカメラ プロジェクト(3)

4×5のフィルムホルダに印画紙を詰めて試写した結果。
プリントをスキャンして反転させている。
使用した印画紙はKentmere VC select Glossy 8×10を四分割したもの。
Ev=15程度の状況で露光時間20秒。
とりあえず近くは写っているが、空は飛んでしまっている。

これは段階露光(F200)の結果。
左から10秒(-1EV)、20秒(0EV)、30秒(+0.5EV)。
左は空の雲が残っているが、近くがだめ。
右は空が飛んでいて、近くも潰れている。
とりあえず設計通りのF値になっているようだ。

試しに少しは明るい机の上を撮ってみた。EV=9.7で露光時間13.5分(F200)。
電気をつけているので、人間の目では普通にあかるいのですが、
中心は写っているが、周辺減光で周りは写っていない。
ISO6で計算したため、ISO5なら数分増えるがもう少し写っていたかもしれない。

やはり明暗差がある対象物では、印画紙での対応は難しいようだ。
印画紙を使う場合には、被写体を選ぶ必要がある。
1.明暗差の小さい被写体や場所。
2.室内や夜は非常に長くなるので、基本的に屋外。
3.ピーカンの晴れより、曇っている方がよいかも。
4.解像度が悪いので、なるべく大きな被写体。(ピンホール一般)

なお、工作が不要なので4×5のカメラの筐体を使っているが、暗箱にピンホールをあけ、印画紙を貼ることで、同様のことは可能。

ピンホールカメラ プロジェクト(2)

プラ板からレンズ搭載部分(右)とシャッター部分(左)の部品を切り出して、とりあえず両面テープで貼って作成。レンズも0.3mmx2枚、0.25mmx2枚が完成した。

4×5のレンズボードに貼ったのがこんな感じ。

エボニーの最短距離が60mmぐらいなので、0.3mmの穴でF200、0.25mmの穴でF250ぐらいになる。60mmの焦点距離の場合の最適な大きさが0.279mmぐらいなので、とりあえずは0.3mmがメインとなる。
晴れた日(EV=14)に、印画紙(ISO5として)を使用してF200だと48秒ぐらいの露光時間が必要。

エボニーに付けたらこんな感じ。

ピンホールカメラ プロジェクト

とりあえず印画紙を使う4×5のピンホールカメラ用で準備を始めることに。
レンズボード1枚と、レンズの穴を塞ぐ板と、ピンホールの薄銅板を貼る板4枚を、ポリ板から切り出し準備した。

ピンホールをあける板は暑さ0.01mmの薄銅版。長さは1mと書いてあった。 とりあえずこれを2.5cmx2.5cmに4枚切って、0.3mmの針で穴をあけたのを2枚、0.25mmの針で穴をあけたのを2枚作った。穴はアマゾンで見つけた3dプリンタの噴射口清掃用の針を使った。この清掃針セット0.15mmから0.4mmまでの針が10本のセットになっているが、表記がないので、ノギスを使って自分で選ばないといけない。普通の裁縫用の針は中央あたりでは0.8mmぐらいもあって、先の方だけ使うが、あいた穴の大きさがわからない。0.25mm~0.3mm位の穴が良いとされている。針先から根本まで同じ太さのようなので、穴が余り広がっていないことを期待。あとは貼るだけでとりあえずレンズは完成予定。

スマホ露出計の補正

 スマホに露出計のアプリをダウンロードして使うことがあると思いますが、スマホの露出計が正しい値を示しているかはわかりません。なぜなら、そのアプリを作成した人は別のスマホのハードを使用して校正しているからです。なので、単体の露出計と比較して校正してみる必要があります。

 私のHDファイヤーにロードした「Light Meter」では露出計とくらべ、1.5Evも低い値がでていました。では、露出計が無い場合は何を使って校正すれば良いか? デジカメと露出計を比べた場合ほとんど差はありませんでした。なので、デジカメと比べればよいのですが、デジカメの場合Ev値を表示をしてくれているものはほとんど無いと思います。そのため、絞り(F)、シャッタースピード、ISO値からEv値を計算するソフトを作ってみました。これで計算したEv値とスマホのメータのEv値に差がある場合には補正する必要があります。補正機能はアプリに標準として付いていると思います。

 小型の露出計では精度が出ていないものもあるので、このような方法で比較してみることも必要です。

EV値の計算

普通のカメラで印画紙をフィルムの代わりに使う

 ピンホールカメラでなくても、普通のレンズを付けて、F22ぐらいに絞れば、ISO5の印画紙であれば、貼れた日には1/2秒程度が適正露出となる。なので、フィルムネガを介さずに写真が撮れることになる。ただし撮れた写真は反転しているので、スキャンして白黒反転するか、印画紙を重ねて密着焼きをすることになる。

 また、イルフォードの [ダイレクトポジティブペーパーFB Glossy 4×5インチ 25枚](5,500円)を使えば、ポジの像がダイレクトに出るので、反転転写が必要なくなるようです。なんか色々あって、この世界は奥が深い。

ピンホールカメラでモノクロ写真用印画紙を使う

 フィルムの代わりにモノクロ印画紙を使うことも考えてみた。モノクロ印画紙の感度はフィルム(ISO100)より20倍程度低く、ISO=5程度のようだ。また、もともと感度が低いので、長時間露光による劣化は考えなくてよさそうだ。なので、晴の日(Ev=14,ISO100)に、仮にF200で2.4秒の露光時間の計算結果が出た場合、印画紙を使う場合には48秒程度になる。F値が確定しているのであれば、とりあえず50秒程度で試してみればよい。未確定であればその前後で試すことになる。
計算式としては Ev= (log(1/48) + log(200)*2 + log (100/5))/log2 =(-1.7+4.6+1.3)/0.3 = 14
計算式で把握しておけば、露出計で出る測定値で、露光時間を決めることができる。天気を見て感で時間を決める必要はない。逆にスマホのアプリで時間を決定できるということだ。この例の場合、ISO=5,F=200を設定すれば、状況に応じて時間を設定してくれる。

 印画紙を使った場合には像が白黒反転しているので、現像して乾燥させたあとに、別の印画紙と密着焼きをして、普通の白黒像に戻す。WEB用だけなら、とりあえずデジタルで反転させる手もある。印画紙を使う場合は、4×5のカメラを使えば、おおげさにはなるが、F値も簡単に変えられ、フィルムホルダーに印画紙を装着するだけで、作業も簡単そうだ。8×10の印画紙なら、4等分すればちょうど4×5のフィルムサイズになる。

 Zero2000も縦7.5cm横8cmに切った印画紙をフィルムの代わりに挟み込めば、簡単に印画紙でも写真が撮れそうだ。こちらは、印画紙の詰め替えを暗箱でやらないといけないが。

【印画紙のISO感度】イルフォード印画紙の説明文では「MULTIGRADE RCペーパーは、フィルム ISO 3~6と同等です。」となっているので、一段の幅がある。例えば晴れの日(EV=14)のF200での露光時間は40秒(ISO6)から80秒(ISO3)の幅がある。

ピンホール用の薄銅板届く

 3月末に発注したピンホール用の薄銅板(0.01mm厚)がようやく届いた。このような特殊なものは全部中国に発注していることになるようだ。2週間以上たつと、発注したときの熱が冷めてしまっている。

 で、カメラ本体に何を使うか思案中。HOLGAはやはり、軟すぎる。4×5+67ホルダは重すぎる。ということで、ハッセルを使えないか考え中。しかし、ボディ前面のカバーに穴を開けるのが大変そう。

日光写真と引き伸ばし機

 20WのLEDランプを探しているときに、UV LEDランプというものが引っかかった。文字どおり紫外線を出すLEDランプだ。ちなみに、昼色光のLEDは紫外線をほとんど出さないようだ。引き伸ばし機の発熱球をUV LEDランプに替えれば、ネガから日光写真が焼けるのではと思った次第。

 現在35mmネガをもとに日光写真を作る場合、いったんパソコンにネガを取り込んで、実物大のネガをOHPフィルムのような透明のシートに印刷して、それを感光紙の上に置いて、太陽光で密着プリントするようだ。最近では、太陽光の代わりに、iPadのような紫外線スクリーン(投光器)で感光することもやられているようだ。しかし、デジタル化して印刷することにより、階調が失われることが欠点のようだ。
 ネガを引き伸ばし機にかけて、白熱球で露光しても良いのではと思うが、問題は発熱球から出る熱。太陽光でも数分露光する必要があり、引き伸ばし機で数分露光すれば、フィルム自体が熱で傷んでしまうので、直接やることは考えられていなかったようだ。 

 すでに(2018年頃)、50WのUV-LEDを載せた基盤を、旧型の引き伸ばし機に載せて販売していた形跡もある。LEDの基盤と電源部はAmazonでも売っているので、工作をすればつくれると思うが面倒だ。実際高出力のUV-LEDタイプを使ってWEBに制作例を掲載している方もいる。しかし、キャビネ版ぐらいでも、露光時間は10時間ぐらい必要なようだ。(最近は3Dプリンター用の透過型LCDをネガに使っているみたい。)

 現時点で手に入る電球型のUV-LEDの出力は15W(1000円ぐらい)しか無いが、とりあえず、Focomatのカラー・タイプのヘッドには収まるようなので注文してみた。しかし、これでは足りないようなので、高出力のスクリーン(投光器)タイプ(60W/3700円)も注文してみた。ランプヘッドの代わりにくくりつければなんとかなりそうな感じ。しかし本体から熱は出るようで、裏に放熱板が貼ってある。放熱用にファンも必要なようだ。

 なお、日光写真に使用する薬剤は、赤血塩とクエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムだが、赤血塩(4620円/500g)はヨドバシにまだ置いていたが、クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム(9460円/500g+2580円)は置いていなかったので、森本化成に注文した。送料だけで3000円近く取られたのは痛かった。だんだん写真用薬品は手に入りにく、かつ高額になっている。使用量は明確ではないが、クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムを10~20g/100mlぐらい、赤血塩を10g/100mlを水にそれぞれ溶かし、使用直前に同量を混ぜて、水彩画の画用紙に塗って、それを乾かして感光紙にする。クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムは量を増やしたほうが感度は上がるが、画像の濃度には関係ないようだ。一旦両薬をまぜた液は使い切らないと、保存性はないようだ。印画紙自体も一日ぐらいが限度のようだ。なお、市販のキットは、クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムが53.86/250ml、赤血塩が22.68g/250mlになっている。2:1のブレンドの特性がよさそうみたいだ。感度を上げるにはさらに、クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムを加える必要がある。

 これらを塗布した紙も売らている。これにはなにか保存剤がふくまれているようで、保存期間が長い。

引き伸ばし機の露光時間

 フィルムプリントの一番アナログ的なところが、数秒ずつ違えて段階露光をして、露光時間を決めるところ。普通に考えれば、印画紙の感度が決まれば、引き伸ばし機から出る光の照度で、おおまかな露出時間はきまるはずだ。なので、より狭い範囲で段階露光ができる。しかし、これを説明したものは見たことがない。実際、照度計とタイマーを連動したも装置もあるのだから、照度計があれば、計算できるはずだ。セコニックのL-308Bには簡易的な照度計機能がつているので、これを使えばなんとかなるはずと思う。

 例えばキャビネで焼いたものを、8×10に焼き直す場合には、照度の違いぶん、露光時間を長くすればよいはずだ。ただ長時間露光なので、正比例していないことも考えられるが。これを機にちょっと実験してみよう。

Zero2000(F138)ピンホールカメラの露出時間

 Zero2000ピンホールカメラをケントメア(ISO200/400)で撮る場合の露出時間をまとめた。
 ケントメア100の場合、晴れの日(Ev=14)は約1秒、曇りの日(Ev=12)は約7秒、夜明るい室内(Ev=6)は約22分、夜景(Ev=4)は約2時間。
 ケントメア400では、晴れや曇りでは1秒を割ってしまうので、どうしても撮る場合にはNDフィルタが必要。晴れの日はND4フィルタを付けて約1秒、曇りの日(Ev=12)で約1秒、夜明るい室内(Ev=6)は約5分、夜景(Ev=4)は約30分。(EV値はISO100換算)なお、1秒前後のスピードの時は、NDフィルターで調整したほうが正確な露光値になる。

 まとめると、Zero2000(F138)ピンホールカメラを使う場合、晴れの日の屋外であれば、(白黒でもカラーでも、) ISO100のフィルムを使えばシャッターを1秒程度開けば大体写るということのようです。夜の室内はiSO400のフイルムで5分程度。夜景はISO400のフィルムで30分程度。

Ev値の計算式(II)

 Evの計算式は2を低数とする対数で計算していますが、普通の電卓には2を低とする対数のキーはありません。ここでは、具体的にシャッタースピードと絞りからEv値を計算する方法を説明します。

 まず対数の計算式として、普通の電卓にも付いている10を低数とする対数で計算すると以下の式となります。
log2(x)=log10(x)/log10(2)

 これを使って、例えばISO100のフィルムを使って晴れた日(Ev=14)に1/125sとF11で写真を撮った場合のEv値の計算は以下となります。
 Ev(晴れた日) = log10(125)/log10(2)+log10(11)/log10(2 )x2
        = 6.97+6.93=13.9

 絞りの方を2倍しているのは、F値は半径に比例していますが、明るさは面積に比例するからです。この計算により、(1/ISO値)のシャッタースピードとF11が、晴れた日の設定で良いことが分かります。
また、ISO400の場合には、log2(400/100)=log2(4)=2だけEV値が高くなります。