ピンホールカメラの露出設定方法

 カメラの露出の延長線として、ピンホールカメラの露出設定を調べてみた。
 ピンホールカメラの場合、絞りの穴の大きさと、フィルムまでの長さ(焦点距離)の組み合わせは一つなので、普通のカメラより考え方は簡単だ。ピンホールはだいたい0.2~0.3mmの穴が使われ、カメラのボディを利用すれば、レンジファインダーの場合の焦点距離は20mm程度。なのでF値は20/0.2でF100程度の固定となる。ISO100のフィルムを使えば、晴れの日(Ev=14)とすると、以下の表からシャッタースピードは0.6秒となる。しかし、0.6秒程度を正確に手で開閉することはできないので、4倍か8倍のNDフィルタを用いて、Evを12もしくは11とすると、シャッタスピードは2.5秒~5秒程度となり、手でも開閉できるスピードとなる。1秒以下の場合に対応するために大判レンズのシャッター部を利用している人もいるようだが、数枚撮るためだけだと、そこまでする必要はないだろう。

 計算していくうちに、ヤフオクで落としてしまったブローニフィルム用の個体はF138となっていた。この場合、晴れの日が1秒、曇が4秒前後でちょうどうまい組み合わせであることがわかる。夜にはISO100のフィルムの場合、数分から数十分の露光が必要となる。このカメラには、露出計で絞りとスピードの組み合わせからF138の場合のスピードを見る換算円グラフが付いているが、露出計でEV値を測れば、下の表で直読できる。

 また、最近のピンホールカメラはデジタルカメラのボディを利用しているらしく、この場合ISO感度を数万に上げることができる。例えば同じF138のピンホールを使ったとすると、ISO感度をISO100から100倍のISO1万にあげてしまえば、1秒のシャッタースピードは1/100秒まで落ちることになる。したがって、今では、長時間露光してからフィルムの現像を待つこともなく、すぐに結果まで見えてしまうことになっているようだ。フィルムを使い、露光具合から、F値を推測する必要もない。しかし、ピンホールカメラによる長時間露光で生じる、動いているものの消失や、川や海での滑らかな波は見ることはできない。

 なお最近はF値138を設定すると、アプリで簡単に露出時間を計算してくれる。これはLight MeterというFreeアプリ。測定値はEv=4.8で約11分。上の表のEv=5.0で約10分とほぼ同じ結果。

【ピンホールカメラのF値の測定】
 新しく作ったピンホールのF値を知りたい場合、デジタルカメラであれば、マニュアルで最適なISO値を決めれば、その時のシャッタースピードからF値は計算できる。
 フィルムカメラの場合、上記表から、EV=12の状態へNDフィルタで持っていき、ISO100のフィルムで1秒から10秒で撮影すれば、F=50からF=200位をカバーでき、その中で一番良いネガの状態のシャッタースピードからF値が推算できる。

【追記 2024/03/27】1秒以上の露光が必要な時、フィルムでは相反則不軌の特性の影響が出るのでその補正が必要。そのため実際には計算から出た露光時間の数倍の露光時間が必要。ここを参照