今日入札しようと思ったら、携帯番号を聞かれるようになった。SMS規制が始まったようだと思ったけど、時間を置いてワンタイムパスワードの設定画面から入ったら、すんなり即決落札できてしまった。なかなかヤフオク卒業できない。
ということで、今日届いた最後ではなかった落札品。やはりMinolta-16 MG-Sの白がほしいということで3台目を落札。結構高くて少量込み3300円あまり。水銀電池が入ったままだったけど、PR44に替えたら、とりあえず露出機能も動いている。

カメラの露出の説明では、例えば「ISO100のフィルムを使い、晴れた日ならEV14なので、絞りはF11で、シャッタースピード(ss)は1/125で良い」とか説明されるが、これが物理的にどういう意味を持つかの説明は省かれている。あとは、F11と1/125から相対的な話が進むわけだ。これは、簡単にわかりやすく説明しているつもりなのだろうが、かえって分かりにくくしている。
これを物理的に説明すれば、ISO100のフィルムが適正に露光される明るさを基準(EV0)として、晴れの日の明るさはEV14だ。これは2の14乗倍(x16384)明るいことになる。なので、そのままこの光をフィルムに当てると真っ黒となる。被写体から反射される光(EV14)を、フィルムの適正露出(EV0)の明るさまで14EV(14段)暗くするのが、カメラの役目だ。
フィルムのEV値に対応した、カメラの機能の基準は絞りがF1、シャッタースピード(ss)が1秒で決められている。
ssを半分づつ縮めていと、1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,1/64,1/128となり1/125のssでは7段暗くしたことになる。
絞りは若干複雑で、絞りの大きさの単位は直径に比例している。しかし光量は面積に比例するので、F1からF4へ1/4にしたとしても、その2乗で効いてきて、2段ではなく4段絞ったことになる。ここで、F1からF11まで一段づつ絞ると、F1.4,F2,F2.8,F4,F5.6,F8,F11となり、F11までには7段絞ったことになる。
ssと絞りを合計すると、7+7=14段となり、カメラにEV14で入った光が14段(14EV)暗くされて、フィルムにはEV0の光として届くことになる。
同じ環境でISO感度が高いフィルムを使った場合、余計に絞る必要がある。例えば、ISO200のフィルムの適正照度はEV-1、ISO400はEV-2であり、ISO100のフィルムより暗い光でも露光する。なので、ISO100のフィルムのときより、それぞれ1EVと2EV光を絞る必要がある。これは下の図を見れば明快だ。
なお、露出補正は露出計側の問題だ。露出計は被写体を反射率18%のグレイと想定して、それがグレイに写るように測定している。したがって、被写体が白い物、例えば雪の場合でも、被写体がグレイと想定して照度を高く(EV値を大きく)測定してしまう。実際にはEV14しかないのに、EV16とかで測定してしまう。それに応じて自動露光のカメラなら、16EV絞ってしまう。なので誤測定分の2EV開ける(+補正)必要がある。同様に、暗い被写体は実際より暗く(EV値を小さく)測定するので、その分絞る(-補正)必要がある。±補正は、段数とは符号が逆方向になるので注意が必要。
同様のことは被写体にも言える。例えば空と地上の明るさは4段ぐらい違う。写真で空の部分が大きい場合、平均測光だと、地上だけの場合にくらべ、度明るく測定しカメラはその分絞るので、地上の部分は暗く写る。地上の被写体を普通に写すためには、地上の部分の測定値にくらべ、1段絞る程度に抑えないといけない。スポットメータがあるのであれば、一番暗い部分の測定値にくらべ、2段絞ると地上の部分は適正露出になる。その極端な例が太陽が写野に入る場合で、この場合でも、地上の風景をちゃんと撮りたいのであれば、地上の露出に合わせないと、太陽だけ光る真っ暗な写真となる。
また、露出を説明しているところでは、「EV0とは、ISO感度が100で、絞りがF1.0で、シャッタースピードが1秒での適正露出。」とか説明されている。しかし、これも知らない人を混乱させる説明だ。絞りとシャッタースピードはF1と1秒が基準というだけで、段数の合計が「0」(カメラをそのまま通過)ならば、どんな組み合わせでも良い。例えば、F1.4なら2秒でもいい。「EV0はISO100のフィルムの適正照度」ということだけで、EV0の説明に、絞りとSSというパラメータは余計なものでしかない。
5年ぐらい完全にやめていたフィルム写真を、2017年に復活させて早8年余り。
なんでまた始めようとしたんだろうと考えたら、答えはこの文庫本でした。
2008年のデジタルカメラ絶頂期に出版された、LomoやHolgaなどのそれまでは
トイカメラと呼ばれていたカメラで、フィルム写真を楽しんでいる、
四国のアマチュア写真家が出した本。
いまのフィルムブーム再来の先駆け的存在。
この本ではフィルム写真のいろいろな表現方法を試していて、フィルム写真も
結構遊べるなと思った次第。
デジタル写真も、ノイズを載せてフィルム写真風に見せる現在、フィルム写真の粒状性を、フィルムの銘柄、現像液の種類、現像方法などで、アナログ的に制御する古き良き時代は終わっているのかもしれない。
ノイズを消して、デジタル写真で使っているXXフィルム風ノイズを入れれば、銘柄を替えられることになる。
ノイズ除去技術を使えば、簡単に古写真も現代の写真として蘇りますね。
これはPhotoDirectorでノイズを除き高画質化して、Silkypixで自動補正した写真。
写真は敦煌の莫高窟で発見された文書を1908年にロウソクの灯りを頼りに調査しているペリオさん。積まれている文書は900年代の始めに洞窟に隠された文書。この部屋の入口は土で埋められて壁になってました。
ただ、右上の部分は暗いのでうまく出ていません。原紙を使えばもっと良くいくでしょう。
天降川公園の桜が咲き始めてました。カメラを持っていなかったのが残念。
早くからいろいろなことに挑戦され、私も参考にしているPHOTOWALKさんの承認を得て、WEBに掲載されているMamiya-16 Automatic(16mm)による「あじさいの花」の写真をPhotoDirector 365で調整してみました。なおそれぞれの機能は0-100%で加減できますが、今回は全て100%で処理した場合です。その他は手を加えていません。なお、16mmのフィルム上の画面(14mmx10mm)は35mmフィルムの1/6です。
左がオリジナル、右が各種調整後(全て100%で処理した場合)の画像です。それぞれの調整後の画像は下に添付しています。なお使用フィルムはVsion3 50Dです。
ちなみに30%ずつ処理した場合がこちらです。こちらがより自然です。
オリジナル
自動ノイズ除去(100%)後
自動色調調整(100%)後
さらに自動カラーエンハンス(100%)処理後
検索してみても、フィルム写真でのノイズ(粒状感)除去は話題になっていない。その理由を考えてみた。
①フィルムの粒状感は銘柄と現像液で決まる。フィルムユーザは自分の好みに合う粒状感の組み合わせを見つけそれを使い続けているので、そもそも、ノイズ除去/調整の必要性を感じない。
②ノイズ除去技術はデジタルカメラのノイズ対策として開発されてきたもので、対象画像はRAWファイルが基本。なので、フィルム写真には使えないと思っている。Jpgファイルにも使える高性能の製品があることを知らない。
③レタッチソフトのノイズ除去機能を使ってみたけど、操作が面倒で、効果もノイズ改善のレベルでいまいちだった。
④普通にフィルム写真をやっている人は、110やハーフ写真での粒状性の悪化は理解しているので、そもそも手を出さない。なので、16mm写真の粒状性向上などの願望は起きない。35mmからフィルムの粒状性を問題にする人は、フィルムの広い中判方向に進む。
昨今のフィルム価格高騰で、粒状性の良いフィルムは手の届かない価格になってしまった。また、ダブルXの写真ユーザーへの販売停止なので、粒状性の悪い低価格のフィルムを物色する必要が出てきた。これまで現像が済んだフィルムの粒状性を改善する手段はなく、フィルム写真のノイズ除去技術が注目されるのはこれからだろう。
110フィルムが現像から返ってきて、粒子が粗いのは予想していたけど、ここまでとは思わなかったという人も多いかもしれません。この写真はLOMOMATIC 110を使いOrca110 B&Wのフィルムで撮られたもので、Youtubeの画面からのスクリーンコピーです。小さな画像ではそれほどまでではありませんが、クリックして拡大すると粒子で満たされていることが分かります。WEB用の写真としては使えません。それでも半世紀前に流行したのは、小さな紙にプリントしていたからでしょう。
しかし、この画質を理由に110カメラを捨ててはいけません。これからCyberlink社のPhotoDirectorのワンクリックでノイズを除くと、元が良いので、インパクトのある写真に変身します。これは同社の「MyEdit」というオンラインソフトでも試せます。
さらにPhotoDirectorで画像をエンハンスすると、地面のタイヤの跡まで見えてきます。もはや、110カメラで撮られた写真とは思えません。
ただしPhotoDirectorもソフトで補正しているために万能ではありません。小さな花の集まったものは、隣の花が合体してしまうこともあります。
フィルム写真の世界では、超微粒子のフィルムや現像液の開発で、長年微粒子化の努力が続けられてきた。しかし、ノイズ除去技術はそれをワンクリックでやってしまう。粒子が粗いことで有名なFomapan400の写真から試しにPhotoDirectorで粒子を消してみた。とりあえず粒子が消え、すっきとしたレタッチ前のベースの写真になる。Fomapan400の粒子を楽しんでいる人もいるだろうが、安いという理由で使っている人には朗報なのではないだろうか。Double XをKodakが売らなくても、Fomapan400で無問題ということになりそう。趣味でやる分には、粒状性でフィルムや現像液を選ぶ時代は終わっているのかもしれない。しかも、カラーネガの粒状性まで修正できる。
昔フィルムだけの写真の頃は、スキャンしただけの修正なしの画像とか書かれていたけど、今のスキャナソフトはスキャンするフィルムの銘柄を選ばせ、それぞれのフィルムに合った方法で自動修正して出力してくるのだから、「レタッチ無し」はあまり意味無いことだろう。
結局、安いフィルムと現像液の最適組み合わせでネガにして、粒状性をソフトで制御し写真データを作り、プリントが欲しいときには、エプソンのプリンターで和紙に出力とかいうコースになるのだろうか?
Before (ネガスキャンの生出力) クリックして拡大すると違いは歴然。
[Canon nF1/nFD 24mmF2.8, Fomapan400 (320), SPD 1+1 11.0分@20℃]
After (ノイズ除去後) ザラザラな質感が消えています。
ただし、ノイズ除去の程度は0から100%で調整ができる。作例は100%の例。
現代は、デジタル写真のカリカリ感が嫌われてフィルム写真風のノイズを載せる時代だから、ノイズを残して、ザラザラ感を保った方がよいのかもしれない。
フィルム写真が終わるといわれ始めたのは2000年台始めにディジタルカメラが急速に普及し始めた頃だった。2010年頃にはCM広告のスポンサーがネガ現像代などを必要経費として認めなくなって、プロのカメラマンはほぼディジタルカメラに移行した。そして、Kodakの価格戦略でフィルムが高騰した2020年以降ではとどめを刺されたかとも思われたが、それでもフィルム写真市場は続いている。最近Kodakは35mmシネマフイルムの一般人への販売を世界的に禁止した。逆に、そうしなければいけないほど、フィルムで撮る写真人口は多いということだ。
フィルム写真の寿命の話は石油の寿命の話と似ている。1960年代にはすでに、20年先には石油は無くなると言われていたが、半世紀たったいまでは、さらに寿命が伸びている。結局、市場の需要がある限り、価格が上がっても無くなりはしない。代替えのものが出てきて、初めて無くなることになる。電気自動車も、現状ではガソリン車の代替えとはみなされていない。なので、石油の需要はつづく。
写真の世界でよく分かるのが、レンズ付きのデジタルカメラだ。これはスマホのカメラ機能と競合し、敗れ去った。レンズ交換式デジタルカメラはまだ生き残っているが、往年のフィルムカメラの販売台数に比べると数分の一の規模だ。結局、デジタルカメラは、新製品が出ることもないフィルムカメラを駆逐することは出来なかった。挙句の果てには、高画質化が行き着くところまで行ってしまい、フィルムの質感に似せるという邪道に走っている。これはそれぞれのフィルム特有のノイズ(粒子)を加える一種の低画質化であり、デジタルカメラがフィルム写真に白旗を揚げたのと同じだ。昨今の中古カメラ市場の値上がりはそれを反映しているのだろう。
また、フィルム価格の暴騰に負けず、レンズ交換式デジタルカメラの価格高騰も中古フィルムカメラ市場の拡大に協力しているのだろう。10数年前と比べてレンズ交換式デジタルカメラの販売台数は約1/3だ。にもかかわらず出荷金額はほぼ横ばい。すなわち、デジタルカメラの単価が10年で約3倍になってしまっている。2000年代ではまだ10万そこそこで買えた入門用が20万近くになり、高級機は100万近くもする。しかも、販売戦略で2~3年で新機種に交代するので、すぐに型落ちの憂き目にあう。これでは半世紀以上生き延びてきて、この先も使えるフィルムカメラに対抗することはできない。当然、価格の面で若年層は購入することは出来ないから、デジタルカメラユーザも増えない。技術的にはいろいろあるかもしれないが、一般ユーザが、スマホのカメラ機能で満足できない場面はほぼ無いのではないか。カメラ産業はこれからも撤退するメーカが続く、典型的な斜陽産業だ。一時期流行っていた動画用カメラも、スマホに食われて今はほぼ聞かない。
写真が発明されても、絵を描く人は多くいた。デジタルカメラの限界が見えてしまった現在、フィルムカメラで撮り続ける人は減らないだろう。その需要がある限り、市場は続く。実際資本さえあれば、フィルム生産はどこでも作れるローテク産業だし、1970年代までの電子シャッターを使っていない機械式カメラは、修理が可能でほぼ壊れない。フィルムの値段が上がったとしても、個人の写真は登場した時点から、しょせん道楽なのだ。道楽ができる人にだけに許された趣味だ。それでも、近い将来、街のDPE写真屋さんはほぼなくなり、大手しか残らないだろうから、安くあげるためには、自分で現像スキャンできることが大事だろう。
35mmカラーフィルムでも空に粒子が出てちょっとと思う時があるが、このソフト(PhotoDirector 365)はその悩みを消してくれる。これは、ノイズが出てしまった例。このソフトにかけて除去すると、粒子の舞っていた空がきれいに晴れ上がる。
また夕暮れ時には露光が足りず粒子が出やすい。これもクリアにしてくれる。
しかし、何と言っても一番効果があるのが、フィルムの小さい110や16mmの粒子の多い写真。これはロモグラフィのサイトにある、「ありあ」さんという作家さんの110での作品(左側)からノイズを抜いて、若干暗めにした例(右側)。赤いアマリリスとモデルさんのドレスの対比が良い。作家さん達が110フィルムを使うのは、粒子で作り出される、昔の絵葉書のようなマットな質感を大事にしているからだ。なので、本意ではないと思うので、短期間に例として掲載します。 しかし、これを見たら、ある程度予想していた以上の粒子の多さから110フイルムから撤退した人達も、一考の価値があるのではないかと思う。逆に、デジタルカメラのようでフィルムで撮る意味がないと思う人もいるとは思うが。(ノイズと小石の区別がつかなくてノッペラな地面にはなっている。) しかし、左の鉢の葉のつやつや感は110で撮ったとは思えない。
これはロモグラフィの投稿サイトにあるMinolta-16 MG(フィルム上の画面サイズは110と同じ)で撮られた写真。フィルムはVision-3 250D。ノイズはそこまでではないが、ノイズ除去と手ブレ補正をすると、デジタル写真になってしまう。事情を知らないで、どちらがオリジナルか聞かれたら、迷ってしまうぐらいだ。
ノイズ除去技術はデジタル写真のRAW現像用に開発されたようだけど、フィルム写真を生き返らせる技術でもある。粒状性向上のために、わざわざ中判を使う必要もなくなってしまう。現状のデジタルカメラのフィルムの雰囲気を出す技術はこれの反対を利用したものだろう。ノイズ除去の技術はここ数年発達が加速したようだけど、これまでフィルムで使えなかったのはデジタルカメラ出力のRAW用が多かったから。現状の技術でさえ110の写真がこんなになるんだから、「もうフィルムでいんじゃない。」という世界になっているような。アナログの匂いは薄くなるけど。
2024年の出荷はコロナ明けということもあって前年比1割増しの849万台ということで、2021年レベルまで回復していますが、大勢に影響はないですね。スマフォに食われる前の2010年にくらべ、レンズ一体型は2%、レンズ交換式は51%というレベルです。ただし、レンズ交換式のピークは2012年にあり、それに比べると1/3のレベル。
売上でみると、2012年の総出荷額は1兆4681億円、2024年は8247億円でほぼ半減。レンズ交換式でみると、2012年は753億円、2024年は723億円とほぼ横ばい。結局、スマホの影響でレンズ一体型は高級機を除きほぼ死滅したということ。円安もあるけど、レンズ交換式は単価が3倍になっていることになる。売れるレンズ交換式の高額商品を出し続けないと、先はないという感じの市場。なので、スマホ市場で計画的陳腐化ともよばれる手法と同じく、製品寿命を短く保ち、買い替え需要獲得のために新製品を短い期間で出してくるわけだ。これが、製品寿命を長く、同一機種を何年も販売し続けたフィルカメラ黄金時代との違いだ。そこには、カメラ人口が増えるという見込みもあった。しかし、スマホのカメラ機能の向上は、未来のカメラユーザーまで広く飲み込んでしまった。それを、上のグラフが表している。固定顧客を掴んでいないメーカは退場するしかなくなる。
また、みんながスマホを持っている現状で、あえて単体カメラを使いたい人には、現状のデジタル機であれば、高めのカメラという選択肢しかないことになる。ここが、中古フィルムカメラ市場に人気が残る原因だろう。