デジタル写真も、ノイズを載せてフィルム写真風に見せる現在、フィルム写真の粒状性を、フィルムの銘柄、現像液の種類、現像方法などで、アナログ的に制御する古き良き時代は終わっているのかもしれない。


ノイズを消して、デジタル写真で使っているXXフィルム風ノイズを入れれば、銘柄を替えられることになる。
デジタル写真も、ノイズを載せてフィルム写真風に見せる現在、フィルム写真の粒状性を、フィルムの銘柄、現像液の種類、現像方法などで、アナログ的に制御する古き良き時代は終わっているのかもしれない。
ノイズを消して、デジタル写真で使っているXXフィルム風ノイズを入れれば、銘柄を替えられることになる。
とりあえずこんな感じでした。(PhotoDirectorでノイズ30%を除去しています。) 今回はスキャン上がりでノイズを軽減してから作業を始めたが、最終段階でノイズを軽減した方が効果がありそう。なお、全てのコマで付属のイエローフィルタを使用しています。
[Mamiya-16 Auto. with Y2, Kodak double X (16mm), D96(1+1) 9.5分@20℃]
フィルム写真の世界では、超微粒子のフィルムや現像液の開発で、長年微粒子化の努力が続けられてきた。しかし、ノイズ除去技術はそれをワンクリックでやってしまう。粒子が粗いことで有名なFomapan400の写真から試しにPhotoDirectorで粒子を消してみた。とりあえず粒子が消え、すっきとしたレタッチ前のベースの写真になる。Fomapan400の粒子を楽しんでいる人もいるだろうが、安いという理由で使っている人には朗報なのではないだろうか。Double XをKodakが売らなくても、Fomapan400で無問題ということになりそう。趣味でやる分には、粒状性でフィルムや現像液を選ぶ時代は終わっているのかもしれない。しかも、カラーネガの粒状性まで修正できる。
昔フィルムだけの写真の頃は、スキャンしただけの修正なしの画像とか書かれていたけど、今のスキャナソフトはスキャンするフィルムの銘柄を選ばせ、それぞれのフィルムに合った方法で自動修正して出力してくるのだから、「レタッチ無し」はあまり意味無いことだろう。
結局、安いフィルムと現像液の最適組み合わせでネガにして、粒状性をソフトで制御し写真データを作り、プリントが欲しいときには、エプソンのプリンターで和紙に出力とかいうコースになるのだろうか?
Before (ネガスキャンの生出力) クリックして拡大すると違いは歴然。
[Canon nF1/nFD 24mmF2.8, Fomapan400 (320), SPD 1+1 11.0分@20℃]
After (ノイズ除去後) ザラザラな質感が消えています。
ただし、ノイズ除去の程度は0から100%で調整ができる。作例は100%の例。
現代は、デジタル写真のカリカリ感が嫌われてフィルム写真風のノイズを載せる時代だから、ノイズを残して、ザラザラ感を保った方がよいのかもしれない。
フィルム写真が終わるといわれ始めたのは2000年台始めにディジタルカメラが急速に普及し始めた頃だった。2010年頃にはCM広告のスポンサーがネガ現像代などを必要経費として認めなくなって、プロのカメラマンはほぼディジタルカメラに移行した。そして、Kodakの価格戦略でフィルムが高騰した2020年以降ではとどめを刺されたかとも思われたが、それでもフィルム写真市場は続いている。最近Kodakは35mmシネマフイルムの一般人への販売を世界的に禁止した。逆に、そうしなければいけないほど、フィルムで撮る写真人口は多いということだ。
フィルム写真の寿命の話は石油の寿命の話と似ている。1960年代にはすでに、20年先には石油は無くなると言われていたが、半世紀たったいまでは、さらに寿命が伸びている。結局、市場の需要がある限り、価格が上がっても無くなりはしない。代替えのものが出てきて、初めて無くなることになる。電気自動車も、現状ではガソリン車の代替えとはみなされていない。なので、石油の需要はつづく。
写真の世界でよく分かるのが、レンズ付きのデジタルカメラだ。これはスマホのカメラ機能と競合し、敗れ去った。レンズ交換式デジタルカメラはまだ生き残っているが、往年のフィルムカメラの販売台数に比べると数分の一の規模だ。結局、デジタルカメラは、新製品が出ることもないフィルムカメラを駆逐することは出来なかった。挙句の果てには、高画質化が行き着くところまで行ってしまい、フィルムの質感に似せるという邪道に走っている。これはそれぞれのフィルム特有のノイズ(粒子)を加える一種の低画質化であり、デジタルカメラがフィルム写真に白旗を揚げたのと同じだ。昨今の中古カメラ市場の値上がりはそれを反映しているのだろう。
また、フィルム価格の暴騰に負けず、レンズ交換式デジタルカメラの価格高騰も中古フィルムカメラ市場の拡大に協力しているのだろう。10数年前と比べてレンズ交換式デジタルカメラの販売台数は約1/3だ。にもかかわらず出荷金額はほぼ横ばい。すなわち、デジタルカメラの単価が10年で約3倍になってしまっている。2000年代ではまだ10万そこそこで買えた入門用が20万近くになり、高級機は100万近くもする。しかも、販売戦略で2~3年で新機種に交代するので、すぐに型落ちの憂き目にあう。これでは半世紀以上生き延びてきて、この先も使えるフィルムカメラに対抗することはできない。当然、価格の面で若年層は購入することは出来ないから、デジタルカメラユーザも増えない。技術的にはいろいろあるかもしれないが、一般ユーザが、スマホのカメラ機能で満足できない場面はほぼ無いのではないか。カメラ産業はこれからも撤退するメーカが続く、典型的な斜陽産業だ。一時期流行っていた動画用カメラも、スマホに食われて今はほぼ聞かない。
写真が発明されても、絵を描く人は多くいた。デジタルカメラの限界が見えてしまった現在、フィルムカメラで撮り続ける人は減らないだろう。その需要がある限り、市場は続く。実際資本さえあれば、フィルム生産はどこでも作れるローテク産業だし、1970年代までの電子シャッターを使っていない機械式カメラは、修理が可能でほぼ壊れない。フィルムの値段が上がったとしても、個人の写真は登場した時点から、しょせん道楽なのだ。道楽ができる人にだけに許された趣味だ。それでも、近い将来、街のDPE写真屋さんはほぼなくなり、大手しか残らないだろうから、安くあげるためには、自分で現像スキャンできることが大事だろう。
注文していた16mmフィルム(片側にパーフォレーション有)と16mmフィルム現像用リール(パターソンタンク用)が届いた。
リールは片側のリールの根本から巻いた後に片側をフタするタイプだった。必要現像液は1本で200ml余りなので、LPL35mmと同じ250mlで考えればよいだろう。2本では400mlぐらい。パターソンのタンクはもともと35mm1本でも300mlぐらい必要だ。
16mmのフィルムはとりあえず50cmぐらいを10本程度切って、丸めて保管予定。丸みが付いていないと16mmカメラでは調子が悪いという話もあるので。110そのぐらいで、16枚程度は撮れるのではないかと思う。16mmカメラでは50cmで最大20枚という仕様のようだ。30.5m巻なので、60本ぐらい取れることになる。1本当たり170円弱、現像を含めて2百円ちょっと。
【2025/03/08追記】Marixのサイトにある巻き方動画を見て練習してみるが、確実性に若干不安あり。とりあえず、フィルムの角を切り落としてから、始めないと行けないことは分かった。
【2025/03/16追記】フィルムを斜めにして、溝にはめながら巻くことがようやく分かった。これで確実にまけるだろう。
【2025/04/20追記】ローライA110では、フィルム送り機構をこわしているので、コマ間がひらき、50cmフィルムで12枚しか撮れなかった。
今年は中判大判の写真にちからを入れるはずだったのだが、なんだか逆方向に向かっているような。昨日120のフィルムを126用と110用に切り出したのだけど、ホルガではダイヤルを回すのがきつく結構大変。また120で1本づつしか取れないということで、面倒もあって、16mmフィルムを買ってみることにした。
買ったのは、【16 mm / 100ft / イーストマン ダブル-X 白黒ネガティブ フィルム 7222 / スプール巻き 片目】というフィルム1缶で30m弱ある。別メーカの10mぐらいものもあるが現在売り切れている。
16mm(110)で撮れる写真はハーフサイズの半分以下、35mmの1/4以下ということになる。しかし、キャビネ大ぐらいに拡大するにはそう変わらないのではという感じもする。粒子も荒れておもしろそうだ。50~70cmで切った場合50本ぐらい撮れることになり、一本当たり約200円。
16mmフィルムは110のカメラだけではなく、16mmフィルムを使った初期の小型カメラでも使うことが出来て、結構奥も深そう。
今日は十数年ぶりにSWCを持ち出して見た。とりあえずイエローフィルターを付けて。スポットメータで測ったら、ハッセルのイエローは1/2段落ちだった。1/2段は露出計に設定がないので1/3段落ちで使ってみる。隼人新港まで往復12km。やはり徒歩では疲れる。早速現像してみたけど、一年毎に空シャッターでチェックしているので、どうにか機能的に問題は無いみたい。乾いてからSCANすることに。
さすがにSWCという感じの二枚。街角スナップとか撮りたくなりました。
Hasselblad SWC Biogon 38mmF4.5+Y2 Kentmerepan100(80) D-96(1+1) 12分 @ 20℃
2025/01/23 撮影分
今日は前回のコースを逆打ちで周る。早速現像してみて、どうにか絵は出ていて、ハードには問題なかったことの再確認。やはりフィルムを上下反対に装填していたのが原因と判明。
今日の最初の訪問地は田の神様。うしろの電線がうるさい。
現像結果はこんな感じです。(調整済み) 現像時間を10.5⇒13分に長くしてみた。ちょっと長かったような気もする。でも、12枚全部ほどよく撮れていた。これもスポットメータの効果? 左のコマの船体の右側が日を受けて白く飛んでいるが、これはしょうがないかなと。また、他のカットでは雲が薄いので、黄色か赤のフィルターが必要みたい。
Hasselblad 501C/M with Planer 80mmF2.8 Kentmerepan100 D-96(1+1) 13分 @ 20℃
2025/01/20 撮影分
Double-Xのようなシネフィルムは、コダック社が2024年10月から全世界的に映画以外への使用の制限を始めていた。(撮影する映画の、内容、監督、スタッフ等が求められる) これはコダックの経営陣の交代によるものらしい。 なので、切り売り業者への供給はストップしている。(継続するのはシネスティールぐらいかもと) で、今日(2025/01/13)にB&HのWEBを確認したところ、メニューから消えてました。Double-Xは個人購入もできなくなったことになります。
価格的には円安も手伝って6万5千円/400ft (16250円/30m)ぐらいになっていた。年に1or2巻の消費なら、無理にDouble-xでなくても、Delta400/HP5+でも良いのかもしれないと思っていたところだったので、まぁ、しょうがないかな。散歩写真にはFomapan400で十分だろう。ただし、Fomapan400はD&Hでは80数$でKentmere400より高いので、現在の9000円は破格の価格。この値段は今のうちかもしれない。(原価は昔と変わっていないのでしょう。)
Fomapa400一通り試してみた感想。
このフィルムの特徴はやはり「粒子」。透明感を求める撮影には向いていない。逆に、昭和的なレトロな白黒写真を求める人には最適かもしれない。特に街中のスナップには粒状感も効果的だろう。使うときには1/3~1段ISO設定を落として使うことが重要。(コントラストが落ちる分はY2フィルタで補正。)最初からISO400で撮って標準現像をすると、白は飛び、黒は落ちることになり、このフィルムに失望してしまうことになる。そういう意味でも昭和なフィルム。微粒子といわれるFomapan200でよいのではと考えられるが、粒子はあまり減らないようだ。
現像液はD-96(1+1) (たぶんD-76も)では軟調な仕上がりなので、少し現像時間を伸ばしてみることが必要かもしれない。XT-3(1+1)やSPD(1+1)はほどほどの仕上がり。XT-3にこだわる必要はなく、SPDで十分だろう。(以上、現像時間11分@20℃での話) ロジナールでどうなるかも別途やってみる予定。
30m缶の価格が、Fomapan400が9000円、Kentmere400が1万5千円、Delta400/HP5+が2万円前後の現状では、選択肢の一つとして重要だ。1本(36枚巻)あたり450円と1000円(Delta400/HP5+)の違い。特に現状24枚巻にしているので、300円/本ちょっとだ。これに現像液が50円ぐらいで、合計400円/本を切ることになる。
【追記 2025/01/18】現像時間はSPD(1+1)11分@20℃でやったが、とまる氏のように11分@22℃にすると白方向が伸び、コントラストが上がるかもしれない。Y2フィルターもシーンを限らず常用で良いだろう。いずれにせよ、Fomapan400はSPDで良いだろう。しかし、Fomapan400だけで撮っていると、粒子のない写真が物足りなくなるのが心配。
【夕暮れの国分平野の遠景。】
Canon New F-1 with nFD28mmF2 with Y2 Filter Fomapan400(ISO320) Fuji SPD(1+1) 11分 @ 20℃
Y2フィルターを付けてみました。夕暮れ時、最後の25コマ目。
一日で36コマはつらいので、最近は24コマで巻いてます。
2~3時間の散歩だとちょうどいいぐらいです。
Canon New F-1 with nFD28mmF2 with Y2 Filter Fomapan400(ISO320) Fuji SPD(1+1) 11分 @ 20℃
2025/01/07 SPD(1+1)の現像例(ISO320)
2025/01/08 SPD(1+1)の現像例(ISO320+Y2)
やはりISO感度を1/3~2/3段落とすと写りが変わる。影の部分も残っている。しっかりと撮るのであれば、三段階露光しておけば、どれかにかかっていると思う。
2025/01/01 XT-3(1+1)の現像例(ISO320)
2025/01/05 XT-3(1+1)の現像例(ISO320)